古楽撥弦奏者シモーネ・ヴァッレロトンダの新録音は四気質論、四元素と四つの季節の関わりをテーマに選曲!『Meditation(メディタシオン)』
規格外の古楽撥弦奏者ヴァッレロトンダが周到な選曲で臨む、17世紀フランスの音世界
徹底した古楽研究のもと、存在感ある快演を繰り広げリュート界に新風を呼び込んできたイタリアのシモーネ・ヴァッレロトンダ。ジャンルの枠を感じさせないアルバムをArcanaレーベルに刻んできた古楽撥弦ユニット「イ・バッシフォンディ」(NHKで2021年秋より放送の17世紀日本を舞台としたBS時代劇『剣樹抄~光圀公と俺』に彼らの音が使われています)の中心メンバーでもあります。
これまで母国イタリアの17世紀に花開いたテオルボやバロックギターの音楽を追求してきましたが、今回のアルバムでは一転してフランス音楽を扱い、きわめて正統派な音作りでその真相を辿ってゆきます。
プログラムのテーマは、近代科学・医学が発達する前、古代から信じられてきた四気質論(四つの体液のバランスが人間の体調や心情を左右するとする説)や四元素(世界は火・水・土・大気の四元素で出来ているとする説)と、四つの季節の関わり。
ルイ14世時代を代表するガロとムートンの作品を中心とした選曲で、音楽を通じて形而上的思考をめぐらせた昔日の宮廷人たちの感覚に迫ります。
プログラムは17世紀フランスのリュート音楽家たちに倣い、調を揃え自由な構成で組み上げられた四つの組曲からなる構成。当時の舞踏のステップをふまえ、思わせぶりなタイトルの向こうにある世界を意識しながらの深い解釈を通じ、それぞれの作品の魅力を鮮やかに浮き彫りにしてゆくヴァッレロトンダの鮮烈な音楽性に惹き込まれずにおれません。
「リュート編曲は世界初」というラモーの名曲も折々に挟まれ、最後はクープランの「神秘の障壁」で締めくくる演出も絶妙。これら有名作に新たな光を当てるヴァッレロトンダの音作りに脱帽です。
(ナクソス・ジャパン)
『Meditation(メディタシオン) 観想』
【曲目】
<冬 ~憂鬱・土・黒の体液・脾臓・ハ短調~>
1. シャルル・ムートン(1626-1699): プレリュード
2. ムートン: シャコンヌ「スペインの美女」
3. ロベール・ド・ヴィゼー(1650-1725): アルマンド「マザランの墓標曲(トンボー)」
4. ムートン: サラバンド「フィレンツェの美女」
5. ムートン: ゴーティエのクラント「憂鬱質」
6. ムートン: パサカーユ「移り気」
7. ジャック・ガロ(1625-1695): シャコンヌ「彗星」
<夏 ~短気・火・黄色の体液・肝臓・ト短調~>
8. ピエール・デュビュ2世(1642-1700): ロンド
9. ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764): アフリカの奴隷たちのエール
10. ジェルマン・ピネル(1600-1661): 魔法
11. ド・ヴィゼー: クラント
<秋 ~無気力・水・粘液・頭脳・ニ短調~>
12. ド・ヴィゼー: プレリュード
13. ド・ヴィゼー: アルマンド
14. ピエール・デュビュ1世(1610-1681): クラント
15. ガロ: 王家の要人
16. ラモー: ロンド「やさしい嘆き」
17. ヴァレンティン・シュトローベル(またはヴァランタン・ストロベール)(1610-1669): カナリーまたはジグ
<春 ~快活・大気・血液・心臓・イ長調とイ短調~>
18. ド・ヴィゼー: ロンド「ミュゼット」
19. ド・ヴィゼー: 老ガロの墓標曲(トンボー)
20. ガロ: クラント「コウノトリ」
21. ガロ: カナリー「カスタネット」
22. ムートン: マントヴァのブランル「わたしの愛人は器量よし」
<身体の均衡、または四気質の均衡 ~変ロ長調~>
23. フランソワ・クープラン(1668-1733): 神秘の障壁
【演奏】
シモーネ・ヴァッレロトンダ(リュート)
使用楽器:モラン・スュル・ウヴェーズ(フランス)のスティーヴン・マーフィ2005年製作によるバロック・モデル、13コース(ピッチ: 392Hz)
【録音】
2021年1月28-31日
オルシーニ宮殿、ボンマルツォ(イタリア中部ラツィオ州ヴィテルボ県)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年12月10日 00:00