イム・ドンヒョクが弾く2曲のシューベルトの最晩年のソナタ~ピアノ・ソナタ第20&21番
シューベルトの同年作曲作品とは思えないほどの違いを引き出した、新たなる解釈演奏
1984年、韓国生まれのピアニスト、イム・ドンヒョク。ショパン国際ピアノコンクールを含む数多くのコンクールに入賞、若き実力者として華々しく活動しています。マルタ・アルゲリッチが高く評価することでも知られる彼、18歳の時にはアルゲリッチのプロデュースで初のアルバムをリリース、以降も「アルゲリッチ音楽祭」に出演するなど、強い信頼を得ています
このアルバム、ドンヒョクが弾く2曲のシューベルトの最晩年のソナタは、この2曲が同じ年に書かれた作品とは思えないほどの違いを引き出してみせています。あくまでも力強く清明な第20番では、仄暗い第2楽章で瞬時深い闇をのぞかせるものの、全体的に煌めくようなタッチでシューベルトの即興性あふれる旋律を聴かせます。変幻自在な旋律が次々に現れる第1楽章、弾むような第3楽章、伸びやかな旋律が印象的な第4楽章と、どこも安心して聴ける健康的で若々しいシューベルトです。
それが一転、第21番ではまるで霞の中から立ち上るかのような曖昧な冒頭部から、何やら不穏な空気を感じさせます。しかしそれは悲しみに満ちた第2楽章まで。第3楽章からははちきれんばかりの音の戯れが耳に残ることでしょう。全体的には希望溢れる元気で若々しいシューベルト像が構築されています。
(ワーナーミュージック)
【収録予定曲】
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959
ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960
【演奏】
イム・ドンヒョク(ピアノ)
【録音】
2021年10月25日、ベルリン、テルデックス・スタジオ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2022年02月04日 12:00