WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.168
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『スリー・ブラインド・マイス』(1962)
アート・ブレイキー(ds)
フレディ・ハバード(tp)
カーティス・フラー(tb)
ウェイン・ショーター(ts)
シダー・ウォルトン(p)
ジミー・メリット(b)
1962年3月18日、ハリウッド、クラブルネッサンスにて録音
曲目(LP初発売時):
01.スリー・ブラインド・マイス
02.ブルー・ムーン
03.ザット・オールド・フィーリング
04.プレクシス
05.アップ・ジャンプト・スプリング
06.ホエン・ライツ・アー・ロウ
【アルバム紹介】
1.アート・ブレイキー率いるザ・ジャズ・メッセンジャーズの60年代初頭のライヴ名盤
2.セクステット編成での圧巻のパフォーマンス
3.メンバーによるアレンジが光るトラッド、スタンダード、オリジナル・チューン
ブルーノート・レーベルだけでなく、数々のレーベルでの他アーティストとの共演を含むレコーディングで、ハードバップ全盛の時代にアーシーなドラミングでジャズ・シーンを大いに盛り上げた人気ドラマー、アート・ブレイキー。自身が率いるザ・ジャズ・メッセンジャーズの60年代初頭のライヴ名盤です。
本作はユナイテッド・アーティスツ・レーベルからリリースされましたが、プロデューサーは、後にジミ・ヘンドリックスの仕事で名を馳せるアラン・ダグラスが担当しています。
編成はクインテットだったザ・ジャズ・メッセンジャーズがトロンボーンを加えたセクステット編成となった時期のパフォーマンスを収録したもので、ハリウッドのジャズ・クラブでのホットなプレイが楽しめます。メンバーのラインナップは、トランペットはフレディ・ハバード、テナー・サックスはウェイン・ショーター、トロンボーンはカーティス・フラー、ピアノはシダー・ウォルトン、ベースがジミー・メリットという顔ぶれです。
楽曲は1曲目のタイトル・チューンは童謡として知られるナンバーで、アレンジはカーティス・フラー、オリジナル曲は4曲目がシダー・ウォルトン、5曲目がフレディ・ハバードとなっており、それ以外は有名スタンダード曲になります。アレンジは2曲目はウェイン・ショーター、3、6曲目はシダー・ウォルトンになっています。
なお、本作は80年代以降に、2枚のCDとしてコンプリート化されたバージョンも発売されました。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
タイトル・チューン“スリー・ブラインド・マイス”の快演。
もともとは英語で歌われる童謡であるこの曲をザ・ジャズ・メッセンジャーズ風に料理するとこうなる、という演奏が聴けます。アレンジはトロンボーンのカーティス・フラーによるものです。
テーマが提示された後にウェイン・ショーターのソロが始まり、当時としては新しい感覚の、脱ハードバップ的なソロを展開、その後フラー、ハバード、ウォルトンとソロが続き、60年代初頭のザ・ジャズ・メッセンジャーズの圧巻の演奏が聴けます。
ワン・コード的なハーモニー構造を持った楽曲ゆえ、ソロが冴えないと単調な展開になったりしますが、ここでは各ソロイストが卓越している上に、ブレイキーのドラムが随所でダイナミックなフィルインを入れるおかげで、とてもエネルギッシュかつパワフルな演奏になっています。
余談です。この「スリー・ブラインド・マイス」という言葉を聞くと、ふと思い出すものが本作以外に2つあります。ひとつは日本の70年代に創設されたTBM(Three Blind Mice)レコードというジャズ・レーベルです。ベーシストの鈴木勲の『ブロウ・アップ』、ピアニストの山本剛の『ミスティ』といった邦人ジャズの名盤を世に送り出してきました。ふたつめは映画ファンであればおわかりかもしれませんが、007の第1作『ドクター・ノオ』のオープニング・シーンで流れるカリプソ風のナンバー。軽快なメロディに乗る「スリー・ブラインド・マイス」という歌詞とともに、3人の盲人(実は殺し屋)が街を歩いてゆくシーンが思い出されます。
国内盤CD
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年03月04日 10:00