クリスティアン・ゲルハーへル&ピョートル・ベチャワ~マーラー:大地の歌(ピアノ伴奏版)
2人の歌手とピアノが表現するマーラー「大地の歌」~ゲルハーヘルとバチャワを揃えた新録音。
マーラー『大地の歌』のピアノ伴奏版は、1987年に発見され、1989年にマーラー全集の1冊として出版されてから、この作品に新しい演奏・鑑賞の可能性があることが判明し世界的に注目されました。従来のピアノ伴奏版のように、管弦楽版へのスケッチや、ヴォーカルスコアとしての副産物ではなく、また管弦楽版とは異なる独立した作品として構想された作品と考えられています。
このピアノ版はより大胆であると同時に、親密で、歌手はオーケストラの場合とは異なる、さらに微妙なニュアンスで歌わなければなりません。そしてリスナーはそれを注意深く聴く必要があります。
これまでもいくつかの録音がおこなわれましたが、豊かな声質と綿密な歌唱が最大の美点であると同時に、主人公の心への投影でマーラーの「歌の世界」を十全に表現したゲルハーヘルの歌唱は、一つ一つの言葉に込められたニュアンスまでが美しく立ち上がる歌唱は明晰そのもの。細かな情景描写の背後に人物の心情を謳った「大地の歌」のテキストに相応しいものです。ゲルハーヘルはすでにマーラー歌曲集を2枚(ピアノ伴奏、オーケストラ伴奏)で録音しており、マーラーとの親和性は明らか。「大地の歌」は、ケント・ナガノ/モントリオール響との2008年録音以来2度目、ピアノ伴奏版では初めてとなります。
テノールは、ポーランド生まれのピョートル・ベチャワが。近年ではワーグナー「ローエングリン」も含むドラマティックな役を中心に歌っており、ここでも圧倒的な歌唱、軽やかな美声で麗しく感情豊かに歌い上げています。
2人が曲毎に歌うわけですが、ピアノ版スコアならではの叙情性を掘り起こす深く繊細な表現は、オーケストラ版に慣れた耳に新鮮な感動をもたらし、曲想を抉るゲロルト・フーバーの素晴らしいピアノとともに、マーラーの新しい表現を見出しています。
(ソニーミュージック)
【曲目】
マーラー:交響曲「大地の歌」(ピアノ伴奏版)
1.「現生の愁いを歌う酒歌」
2.「秋に寂しき人」
3.「青春について」
4.「美しさについて」
5.「春に酔う人」
6.「告別」
【演奏】
クリスティアン・ゲルハーへル(バリトン:2,4,6)
ピョートル・ベチャワ(テノール:1,3,5)
ゲロルト・フーバー(ピアノ)
【録音】
2021年9月29日~10月1日、ミュンヘン、バイエルン放送第2スタジオ