Jos van Beest Trio(ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ)|『イフ・ユー・オンリー・ニュウ』オスカー・ピーターソンへのオマージュ作品を澤野工房からリリース
いつもの優しいビースト節そのままに、オスカー・ピーターソンへのオマージュを最大限に表現したアルバムです。澤野工房1年ぶりの新作になります。
国内盤CD
優しい語り口のオランダのピアニストです。以前、サワノさんの作品解説に書いたことがあるのですが、かの地のピアニストって、明るく柔らかいメロディと心地よいスイング感を持った人が多くて、アトリエサワノのシリーズと相性はとってもよいと思います。そして、ビーストのルーツにあるのは、副題にもあるようにピアノの巨人オスカー・ピーターソン。ここにオランダ流の優しいメロディが程よく加わったのが、彼の演奏のスタイルなのだと思います。
本作はドラムなし、ギター入りのトリオ。初期のピーターソンが得意だった編成で、ギターとの掛け合い、ベースの力強さも聴きどころです。例えば、 Tr.01 「 ワールド・オン・ア・ストリング」はチャーミングなイントロ付き(先輩ピアニスト、ピム・ヤコブスを連想される方も多いかも・・)ブルースを程よく感じさせながらスイングします。 Tr.04「 ザッツ・オール」はミデアム~スロー仕立て。この曲はまさに私の思う、優しいピアノの語り口が味わえます。Tr.09 「 身も心も」には、耳を引く前口上付き。こんな入り方ってニクイですね。で、 Tr.11 「 ラヴ・バラード/自由への賛歌」はピーターソン・トリビュートには欠かせない曲。クラシック~ゴスペル調のピアノソロ。この澄んだ美しさはどうでしょう。そしてスイングする Tr.12 「 ユアーズ・イズ・マイ・ハート・アローン」で、さらっと締めくくられるのもいい。
肩の力を抜いて演奏を楽しんで・・そんなビーストのメッセージが、アルバム全体から伝わってくるように思います。
Text by 神尾 孝弥
収録曲 01. I've Got the World on a String 02. Song to Elitha 03. I'm Confessin 04. That's All 05. If You Only Knew 06. Broadway 07. Old Folks 08. But Not for Me 09. Body and Soul 10. Blues in the Closet 11. Love Ballade/Hymn to Freedom 12. Yours Is My Heart Alone
Jos van Beest Trio: Jos van Beest - piano Vincent Koning - guitar Hans Mantel - bass
タグ : [anoto]
掲載: 2024年02月16日 11:20