坂本龍一コンサート映画が新春公開!いま振り返りたい“世界のサカモト”が残してきた言葉たち
「教授」の愛称で親しまれ、2023年3月に惜しまれつつこの世を去った坂本龍一。没後も坂本の功績を称える声は止まず、来年1月3日からは東京フィルハーモニー交響楽団と数々の名曲を披露したコンサートツアー『Playing the Orchestra 2014』の全国上映も始まる。同コンサートで坂本はピアノ演奏だけでなく指揮も執っており、音楽家・坂本龍一という才能を改めて知る上でも重要な作品になるだろう。
●映画公開前に必読の一冊「坂本龍一語録:教授の音楽と思考の軌跡」
コンサートで披露された楽曲は多岐にわたり、YMO(Yellow Magic Orchestra)時代の曲はもちろん、自身の代表曲『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』などにも及んでいる。坂本が生み出してきた音楽がいかに多彩だったか、観客はコンサート映像を通して目の当たりにするはずだ。
坂本の功績を語る上で、映画『ラストエンペラー』を外すことはできない。同作の音楽を担当した坂本は、日本人初となるアメリカ・アカデミー賞作曲賞を獲得。その後も“世界のサカモト”の名に相応しく、日本映画に加えてハリウッド映画の音楽も多数手がけることになった。
また坂本は音楽家としてだけでなく、俳優や文化人として活動していたことでも知られている。親交関係も広く、映画『戦場のメリークリスマス』で共演したデヴィッド・ボウイやビートたけし、ミュージシャンの忌野清志郎、お笑いではダウンタウンなど、国内外の大物・人気者と仲を深めてきた。
そんな坂本の人となりを知る意味でも、文芸・音楽評論家の円堂都司昭による著書「坂本龍一語録:教授の音楽と思考の軌跡」はファン必携の1冊ではないだろうか。著名人との対話から生まれた坂本の言葉を、音楽、文化、社会の3つに分けてまとめ、対談当時の心情や発言の意図・背景が丁寧に解説されている。
音楽面では、坂本の音楽に対する深い造詣や曲作りの苦悩などを紹介。元恋人だったシンガーへの罪悪感とも取れるコメント、同業ミュージシャンに対する嫉妬と感じられる発言もあり、坂本の意外な一面を垣間見ることになるだろう。他にも『戦場のメリークリスマス』の故・大島渚監督とのエピソードや、高校時代を共にした同級生で元政治家との武勇伝などが語られている。
同書は単なる名言集ではなく、坂本の多面的な魅力を深く読み解くことができる語録集だ。文章化された“坂本龍一の世界”を堪能したうえで、新春公開のコンサート映画を楽しんでほしい。
掲載: 2024年12月11日 16:00