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ネルソン・フレイレ『SWR録音集-ショパン、シューマン、ブラームス、ドビュッシー、スクリャービン、ファリャ、ヴィラ=ロボスの作品』3枚組 2025年2月13日発売

フレイレ

エレガンスと自然な深み - ネルソン・フレイレをしのんで、SWRのアーカイヴから貴重な放送録音をCD化。初出音源多数!


フレイレは1944年10月19日、ブラジルのボア・エスペランサで生まれ、5人兄弟の末っ子として育ちました。4歳でピアノを始め、すぐに才能を認められます。6歳で家族と共にリオデジャネイロに移住。フレイレ自身は「幼少期は扱いにくい子供だった」と振り返りますが、両親は彼にピアノを強制せず自由に学ばせた結果、週末はビーチで遊び、日々2時間の練習をしつつ、毎年様々なプログラムのリサイタルを行う少年時代を過ごしたということです。1957年、12歳のフレイレはリオデジャネイロでの国際ピアノコンクールで決勝に進出し、リリー・クラウスとマルグリット・ロンら審査員を驚かせるほどの演奏を披露、翌年にはウィーンに留学、フランツ・シュミットの教え子ブルーノ・ザイドルホーファーに師事しました(グルダやブッフビンダーと同門)。マルタ・アルゲリッチとはウィーンでの学生時代からの友人で、後にデュオとしての演奏活動も行っています。以降は国際的な演奏活動を展開し、1967年にはCBSと専属契約して翌年ソロ・アルバムを発表。2001年にはデッカと契約を結び、円熟した解釈によるアルバムを次々と発表。死の直前にはシューベルトやスクリャービンに取り組む計画がありましたが、腕の骨折により実現しませんでした。2021年11月、77歳で生涯を閉じました。
フレイレにとってショパンは生涯を通じて愛する作曲家でした。このアルバムに収録された3作品の録音時期には30年ほどの開きがありますが、どれも自然で軽やか、柔軟な魅力に満ちています。また、シューマンやブラームスなどのロマン派作品やドビュッシーにも深い情熱を注ぎ、詩的で繊細な演奏に定評がありました。このディスクでもシューマンの幻想曲やブラームスのラプソディでは卓越した技術と詩的表現の見事な融合が聴かれます。オーケストラとの共演記録も貴重で、1979年のスクリャービンの「プロメテウス」の録音は、力強い響きと詩的な表現力を併せ持つ彼の演奏の本質を示す貴重な記録です。母国ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの幻想曲「モモプレコ-ス」や、1999年に録音されたファリャの「スペインの庭の夜」でも、卓越した技術と鮮やかな音色が際立っています。特にファリャの録音では、26歳の若きフレイレの軽快かつ情熱的な演奏が楽しめます。
欧米での高い評価や充実したキャリアに比べると、フレイレが遺した録音は驚くほど少ないと言えるでしょう。CD2では、シューマンの2曲が限定盤やマイナーレーベルのライヴ盤で出たことがありますが、他の曲は意外にも録音が無く、CD3の3曲も録音がありません。これらの録音から受ける印象を原盤解説のクリストフ・フラツはこのように記しています。「フレイレの演奏は、いつもどこか軽やかで、どこか虹色のきらめきがする。」
ネルソン・フレイレのファンはもとより、広くピアノ好きにお勧めしたいセットです。
(ナクソス・ジャパン)

【曲目】
【CD1】
フレデリック・ショパン(1810-1849):
1. アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 変ホ長調 Op. 22
2-5. ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op. 35
6. スケルツォ第4番 ホ長調 Op. 54
ネルソン・フレイレ(ピアノ)
バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団…1
エルネスト・ブール(指揮)…1
録音:
1970年12月17日 バーデン=バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ…1
1968年11月12日 南西ドイツ放送スタジオ5…2-5
1999年12月8日(ライヴ) マインツ、フランクフルターホフ…6

【CD2】
ロベルト・シューマン(1810-1856)
1-3. 幻想曲 ハ長調 Op. 17
4. アラベスク ハ長調 Op. 18
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
5-6. 2つのラプソディ Op. 79
5. 第1番 ロ短調
6. 第2番 ト短調
クロード・ドビュッシー(1862-1918)
7-9. 版画 L100
7. I. 塔(パゴダ)
8. II. グラナダの夕べ
9. III. 雨の庭

ネルソン・フレイレ(ピアノ)
録音:1999年12月8日(ライヴ) マインツ、フランクフルターホフ

【CD3】
アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)
1. プロメテウス - 火の詩 Op. 60(1908-10)
マヌエル・デ・ファリャ(1876-1946)
2-4. 交響的印象「スペインの庭の夜」(1909-15)
2. ヘネラリーフェにて
3. はるかな踊り
4. コルドバの山の庭にて
エイトール・ヴィラ=ロボス(1887-1959)
5. ピアノと管弦楽のための幻想曲「モモプレコース」(1929)    ネルソン・フレイレ(ピアノ)

カールスルーエ室内合唱団…1
バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団…1、2
ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団…3
デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)…1
エルネスト・ブール(指揮)…2
テオドール・グシュルバウアー(指揮)

録音:
1979年11月9日
バーデン=バーデン、南西ドイツ放送 第3スタジオ…1
1970年12月18日 バーデン=バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ…2-4
1999年5月17-18日
ルートヴィヒスハーフェン/ BASF-ファイアアーベントハウス…5
総収録時間:約174分

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2024年12月27日 17:30