尾崎豊の音楽はなぜ心を揺さぶるのか?「1990年のCBS・ソニー」で明かされる名曲誕生の裏側
2025年4月23日に、尾崎裕哉が父・尾崎豊の楽曲を全編カバーしたライブ映像作品『OZAKI PLAYS OZAKI 1.』をリリース。本作は、2024年6月に開催されたライブを完全収録した作品で、全14曲・約120分にわたるカバーライブが収められている。時代を超えて愛される尾崎の楽曲が息子によってどのように歌い継がれるのか、注目の一作だ。
●尾崎豊の魂を受け継ぐアーティストたちの証言
1992年に、26歳という若さでこの世を去った伝説のシンガーソングライター・尾崎豊。その音楽は時を超えて、多くのアーティストや芸能人に影響を与え続けている。
その中でも意外な人物なのが、AKBグループなどで知られるプロデューサーの秋元康だ。2022年に放送された「人生最高レストラン」に出演した際に、秋元は尾崎について「やっぱり、尾崎豊さん、好きですね」と告白。さらに、「やっぱり魂の叫び、つまりテクニック論とかじゃないじゃないですか。そういうものって、自分では書けないもの」と絶賛していた。尾崎とは異なる作風のイメージもある秋元だが、それだけに尊敬する部分も多いのかもしれない。
Mr.Childrenのボーカルである桜井和寿も、『僕が僕であるために』をカバーするほどの尾崎豊ファンだ。さらに2022年の「音楽ナタリー」のインタビューでは、自身のライブ音源の出来に納得できず、悩んでいた時のエピソードを吐露している。
過去のライブの歌唱のアラが気になり、「これ、本当に喜んでもらえるのかな?」と不安になっていた桜井。しかし「例えば尾崎豊さんのライブベストを聴いて、俺は歌のアラなんて気にするか?」と自問し、「全然気にならない。むしろそっちのほうが、感情が込められた特別な歌だ」と気づいたことで、ライブ音源を世に出す踏ん切りがついたようだ。
コブクロの黒田俊介も尾崎豊を敬愛するアーティストの1人。尾崎裕哉との対談「尾崎豊から引き継いだバトン」の中では、黒田は「僕が今こうして歌を歌っているのは、尾崎豊さんの『I LOVE YOU』と出会ったから」と明かし、路上時代に尾崎豊の歌を歌っていたと語っている。
現在でも多くの人を魅了し、愛され続ける尾崎豊。そんな彼を世に送り出したレーベル「CBS・ソニー」についての書籍「1990年のCBS・ソニー」には、尾崎のデビューから逝去までの軌跡が描かれている。オーディション会場に「裸足に雪駄」という個性的な格好で現れたデビュー前の尾崎の姿など、貴重なエピソードも満載。さらに名曲『卒業』の誕生秘話や、プロデュースにまつわる舞台裏、さらには「クールでストイック」とされた彼の意外な素顔など、知られざるエピソードが多数収録されている。
尾崎以外にも、松田聖子など時代を彩ったスターの裏側を知ることができる。尾崎豊ファンはもちろん、当時の音楽に興味がある人はぜひ手に取ってみてほしい。
尾崎豊 スタジオ・アルバム
タグ : レビュー・コラム
掲載: 2025年03月27日 12:53