Naxos~2025年8月発売新譜情報(10タイトル)

CD(10タイトル)
■作品詳細
今回はペトラッシの「管弦楽のための協奏曲」シリーズ完結編に、好評シリーズ、アレクセイ・ショール:作曲家のノートの第5集はヴァイオリン協奏曲集、第9回武蔵野市国際オルガンコンクール(2023年)の優勝者、ニクラス・ヤーンの記念アルバム、グールド・ピアノ・トリオによるマルシュナーのピアノ三重奏曲集第2集、フローレンス・プライスの合唱作品集など、世界初録音を含むCD10タイトルがリリースされます。
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ゴッフレード・ペトラッシ(1904-2003):管弦楽のための協奏曲第7番、第8番、室内ソナタ
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)ローマ交響楽団、マリオ・ステファノ・トンダ(チェンバロ)
ペトラッシの「管弦楽のための協奏曲」シリーズ完結編。ゴッフレード・ペトラッシはイタリアの作曲家、教育者、指揮者で、ローマのサルヴァトーレ教会で聖歌隊員を務めた後、サンタ・チェチーリア音楽院で学び、教師としても活動、1937年から1940年にかけては、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の監督を務め、現代音楽のフェスティバルを主宰しました。第7番は、ポートランド・ジュニア・オーケストラの委嘱で書かれた作品。1962年の初演は成功しませんでしたが、ペトラッシ自身が新たに書き直し1965年に再演されています。6つの連続するセクションで構成され、バロック音楽の構造とイタリア・アヴァンギャルドの手法が見事に融合した多彩な管弦楽の響きと緊張感あふれる表現が特徴です。特に、第3セクションで聴かれるシロリンバ(大型の鍵盤打楽器)のソロや、終結部で静寂から再び高揚する展開が印象的。
第8番は、1972年にシカゴ交響楽団の委嘱によって生まれ、カルロ・マリア・ジュリーニの指揮で初演されました。3楽章構成のこの作品は、第7番を凌ぐほどの強いインパクトを持ち、聴きやすさに妥協することなく、高度な技巧と表現力を要する緊迫感あふれるサウンドが展開されます。さらに、アルバムには1949年作曲の「室内ソナタ」も収録。こちらもジュリーニが初演を手掛けた作品で、ペトラッシの作風の新古典主義からモダニズムへの重要な転換点を示すものと位置づけられています。チェンバロを中心に、軽快な対話や抑制された語り口、そして活気に満ちた終楽章が聴きどころとなっています。
(ナクソス・ジャパン)
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アレクセイ・ショール(1970-):作曲家のノート 第5集 - ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番、第5番
ドミトリ・ヤブロンスキー、セルゲイ・スムバチャン、ジョン・ワーナー(指揮)キーウ・ヴィルトゥオージ、ヴァレリー・ソコロフ、チョン・ヌリ、マルク・ブシュコフ(ヴァイオリン)
NAXOSの人気シリーズ、現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショールの作品集。第5集は3曲のヴァイオリン協奏曲を収録。どれもソリストとオーケストラの対話、豊かな物語性、イメージを喚起する音楽が魅力で魅力で、若き実力派ソリストたちにも注目です。第1番は、海のさまざまな情景を描いた4楽章構成の作品。第1楽章「Abandoned Lighthouse(廃墟の灯台)」では、寂しげな旋律が孤独感を描き出し、第2楽章「Lonely Sail(孤独な帆)」では内省的な旋律で帆の姿が静かに消えゆく様子が描写されます。第3楽章「Gathering Storm(迫りくる嵐)」では緊張感あふれる劇的な音楽が展開、第4楽章「Summer Hail(夏の雹)」では、目まぐるしい技巧と力強さに満ちたヴァイオリンによって全体が鮮やかに締めくくられます。ショ-ルの作風の原点を示しながらも完成度の高いこの曲は、聴衆を壮大で変幻自在な海の旅へと誘います。第2番は、ギリシャ神話の三美神に着想を得た優雅で魅力的な第1楽章、喪失感と郷愁を内省的に描いた繊細な和声が印象的な第2楽章、飛翔するハヤブサを鮮やかに表現した圧倒的なスピード感と技巧に満ちた終楽章からなり、3つの楽章はそれぞれ異なる情景を描き出します。ソリストは語り手と主人公の両方の役割を果たし、音楽を通して物語を紡いでいきます。第5番は、新型コロナウイルスによるロックダウン中の2021年に作曲された作品で、暗く陰鬱な音色と緊張感に満ちた音楽が展開されます。深い抒情と物語性に技巧的な書法が融合し、現代的な和声のなかで感情を強く刺激する旋律が魅力的な、重厚な内容を持つ協奏曲です。
各曲に起用されたソリストの面々にも注目で、「第1番」はエネスク・コンクール優勝者でメジャー・レーベルへのCD録音や来日公演でおなじみのヴァレリー・ソコロフ、「第2番」は2021年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで16歳にして第2位に輝いた韓国のチョン・ヌリ、「第5番」は2019年のチャイコフスキー・コンクールで第2位となったマルク・ブシュコフが担当しています。
(ナクソス・ジャパン)
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一部世界初録音
フローレンス・ベアトリス・プライス(1887-1953):合唱作品集 - エイブラハム・リンカーンは真夜中に歩む、希望の歌 他
ジョン・ジーター(指揮)マルメ歌劇場合唱団、マルメ歌劇場管弦楽団
「黒人女性初の交響曲作曲家」と呼ばれるフローレンス・プライス。近年はその作品がBBCプロムスで演奏されたり、グラミー賞を受賞するなど、大いに注目されています。プライスは詩や文学への深い関心を持ち、自作の歌詞を用いた作品を含む100曲以上の声楽曲を残しました。彼女が曲を付けた詩人には、ラングストン・ヒューズやバイロン卿、ロバート・フロストなど、多様な人物が含まれます。このアルバムに収録された「エイブラハム・リンカーンは真夜中に歩む」は、黒人霊歌やバロック音楽の影響を受けたプライス最大の合唱作品。詩は第一次世界大戦勃発時の詩人ヴェイチェル・リンゼイによるもので、作品全体は重厚さと希望を兼ね備えた構成により、平和を願うリンカーンの姿を描いています。「希望の歌」はプライス自身の詞による神への祈りで、五音音階や調性の大胆な変化を通じて、信仰と深い内省が表現されています。併せて収録された短い合唱曲では、フローレンス・プライスの詩的感性とユーモアが際立っています。「ウェザーズ」「賛美の詩」「夏の雲」「夜」などでは自然の魅力が生き生きと描かれ、「雪のための歌」でも温もりと安らぎを表現。「牧草地の魔女」や「月の橋」には遊び心が、「放浪と渇き」には冒険心と神秘が感じられます。「諦め」と「主を讃えよ」は宗教的な主題を扱い、とりわけ「諦め」は「希望の歌」と似た雰囲気を持ち、プライスが深く心を寄せた文学的テーマが反映されています。
(ナクソス・ジャパン)
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ニクラス・ヤーン オルガン・リサイタル
ニクラス・ヤーン(オルガン)
※国内仕様盤には日本語訳が付きます。
第9回武蔵野市国際オルガンコンクール(2023年)の優勝者、ニクラス・ヤーンの記念アルバム!
1996年にドイツのフルダで生まれたヤーンは、マインツとフライブルクでオルガン即興演奏、教会音楽、合唱指揮などを学び、数々の国際コンクールに上位入賞・優勝。2024年からは由緒あるドレスデンの聖母教会のオルガニストに任命され、若くしてその実力が極めて高く評価されています。当アルバムは武蔵野のコンクール終了後、メイン会場となった武蔵野市民文化会館小ホールのオルガンでセッション収録されたもの。演奏曲も当該コンクールで演奏した曲ばかりで、練りに練った解釈と演奏を聴くことができます。ブックレットに掲載された解説もヤーン自身が書き下ろしたもの(国内仕様盤には日本語訳が付きます)。
ヤーンは2025年9月に来日して優勝記念コンサート・ツアーを行います。
(ナクソス・ジャパン)
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ハインリヒ・アウグスト・マルシュナー(1795-1861):ピアノ三重奏曲集 第2集 - 第2番、第6番
グールド・ピアノ・トリオ
ハインリヒ・マルシュナーは、ウェーバーとワーグナーの間の世代に属する、ドイツ・ロマン派オペラの代表的な作曲家として知られていますが、彼の優れた室内楽作品はしばしば見過ごされがちです。マルシュナーはピアノ三重奏曲を7曲作曲しており、これらは友人であったシューマン夫妻からも高く評価されました。「ピアノ三重奏曲第2番」は、陰鬱な第1楽章ではじまる情熱的で劇的な展開が魅力の作品です。「ピアノ三重奏曲第6番」は、「第2番」から約10年後に作曲された作品で、共に短調で書かれている点や、情熱的な旋律、楽器間の創意に富んだ対話性など、多くの特徴を共有しています。演奏は、第1集と同じくグールド・ピアノ・トリオが務めています。
(ナクソス・ジャパン)
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アントン・ルビンシテイン(1829-1894):幻想曲 ホ短調、5つの小品、騎兵隊の速足
レギーナ・チェルニチコ(ピアノ)
優れたピアニストであったアントン・ルビンシテインは、作曲家としても多くの作品を遺しました。「幻想曲 ホ短調」は、激しい序奏と力強い主題、ロマンティックな第2主題が対比を見せる第1楽章、バッハ風の半音階的モチーフを基にした荘厳な第2楽章、軽快なスケルツォ、そしてベートーヴェン風の荘重な序奏で始まり、ドラマティックなコーダで締めくくられるフィナーレからなる4楽章構成の大作です。全体を通して2度音程のモチーフがさまざまに姿を変えて現れ、作品に統一感を与えています。「5つの小品」は、舞曲の快活さやショパン風の夜想曲に見られる抒情性、華やかな技巧が巧みに融合した個性的な作品集。それぞれの曲が独自の性格を持ち、全体として多彩な表現の広がりを示しています。「騎兵隊の速足」は、19世紀に流行した「騎兵行進曲」ジャンルに属する陽気な作品で、もともとは変ホ長調で書かれた技巧的な曲ですが、このアルバムでは1889年に出版されたニ長調の簡略版を収録。家庭で手軽に演奏できるように編曲された版で、当時のサロン音楽のスタイルを反映しています。演奏は、第60回マリア・カナルス国際ピアノコンクールの優勝者であるウクライナ・ハリコフ出身のピアニスト、レジーナ・チェルニチコ。ウラディーミル・ホロヴィッツの姉レジーナ・ホロヴィッツの流れを汲んでおり、卓越した技巧と繊細な音楽性で注目を集めています。
(ナクソス・ジャパン)
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アッリーゴ・ボーイト(1842-1918):歌劇《ネローネ》(2枚組)
フランチェスコ・チッルッフォ(指揮)カリアリ歌劇場管弦楽団&合唱団
《メフィストーフェレ》で知られるアッリーゴ・ボーイトの2作目のオペラ《ネローネ》がCD初登場。作曲者の死により未完のまま残された《ネローネ》は、ズマレリアとトンマジーニによって補作され、1924年にトスカニーニの指揮で初演されました。その後は長らく再演されませんでしたが、初演から100年にあたる2024年にカリアリ歌劇場で上演され大きな注目を集めました。これはその時の録音です。タイトルロールのネローネを演じたのは、ジョージア出身のテノール、ミヘイル・シェシャベリゼ。ファヌエル役には、日本でも数多くの舞台で知られる名バリトン、ロベルト・フロンターリが登場。シモン役には、暗い情念に満ちた表現で高く評価されるフランコ・ヴァッサッロ、アステリア役には、イタリア各地の歌劇場で活躍するリリコ・スピント、ヴァレンティーナ・ボーイが起用されるなど、実力派キャストが揃いました。指揮はフランチェスコ・チッルッフォが務め、ボーイトの濃密な音楽をドラマティックかつ繊細に描き出し、高い評価を受けました。
(ナクソス・ジャパン)
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アントニオ・ソレール(1729-1783):ソナタ第99番 - 第111番
ジェイデン・アイジク=ズルコ(ピアノ)
NAXOSのソレール・ソナタ・シリーズに大注目のアイジク=ズルコが登場!
1999年カナダ生まれのジェイデン・アイジク=ズルコは2022年にマリア・カナルスとサンタンデール、2024年にはモントリオールとリーズという国際コンクールで第1位を獲得して大きな注目を浴びています。2025年6月に日本で行ったリサイタルでは、整った様式感と多彩な音色、楽想に応じて弾けるような躍動感で聴衆を魅了しました。このアルバムでもソレールの持ち味であるイベリア的な色彩を見事に伝えてくれます。
ソレールはスペインの鍵盤音楽の礎を築いた作曲家の一人で、44歳上のスカルラッティと共に、そのソナタ群は今も鍵盤楽器奏者のレパートリーとなっています。このアルバムには晩年の作品を収録。多楽章形式の曲からは古典派へ向かう流れも感じ取れます。
(ナクソス・ジャパン)
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ミュンヘン・ギター協会の手稿譜 - シュメルツル、シュルツ、ダール、キューネル、カンベルガー:ギター作品集
ダニエル・ヴァレンティン・マルクス(ギター)
2009年、ミュンヘンの屋根裏部屋で膨大なギター曲の楽譜が発見されました。現在、ミュンヘン・ギター協会(Gitarristische Vereinigung München)が所蔵するこのコレクションには、長らく忘れられていながらギター音楽史的に重要な作品が多く含まれています。ここではその中から5人の作曲家の作品を紹介。シュメルツルは、アウクスブルク出身の作曲家・ギタリスト。「Solo-Steyrer Jodler」による序奏と変奏曲は、古典派とロマン派の境界に位置する様式を持っており、マウロ・ジュリアーニの影響が色濃く感じられます。シュルツはウィーン生まれのギタリスト・作曲家。若くして天才と評され、ジュリアーニの影響を受けながら、リストとの共演経験やイギリス王室の前での演奏歴もあります。「サヴォワ風ロンド」はこの譜面が唯一の資料であり、実演における効果を重視した作品です。ダールは、バイエルン州シュヴァインフルト出身。ヴァイオリンやフルートを学んだ後、18歳でギターに転向しました。晩年に作曲された「ギター・ソナタ ニ長調」は、オーケストラを思わせる重厚なテクスチャなどが特徴で、第3楽章ではアルプスの民俗音楽の影響が見られます。キューネルの「タールベルクによる異国の思い出」は、タールベルクがベッリーニのオペラ《異国の女》を基にしたピアノのための編曲をギター用に再構成したものです。カンベルガーの「大幻想曲」は、フロトウのオペラ《アレッサンドロ・ストラデッラ》を中心に、多くのオペラ主題を引用しながら、独自の旋律と構成を交えて展開する意欲的な作品です。
ダニエル・ヴァレンティン・マルクスは、ドイツ出身。幼少期よりギターを始め、ミュンヘンやケルン、ロサンゼルスで著名な指導者のもと研鑽を積んだギタリスト。現在はサリー大学でスティーブン・ゴス教授とともにミュンヘン・ギター協会に関する研究に取り組んでいます。
(ナクソス・ジャパン)
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ピーターハウス・パートブックの音楽 - イギリス・ルネサンスの宗教曲集
ケンブリッジ・ピーターハウス合唱団、サイモン・ジャクソン(指揮)
ケンブリッジ大学のカレッジ中で最古のピーターハウスに伝わる写本の音楽が蘇る!
ピーターハウスは1284年創建。チャペルの新設に伴い1635年に合唱団(聖歌隊)が創設され、そのレパートリーとなる作品群の筆写譜が集成されました。この写本はスコアの形ではなく、高音域から低音域まで5つに分かれた声部とオルガンについて、パート単位で製本されていることから「パートブック」と呼ばれる形を採っています。収録されているのはルネサンス期のモテットが中心で短めの作品が多く、イギリスの作品のみならずイタリア伝来の楽曲も含まれています。この写本でしか伝わっていない曲も少なからずあり、特に1635年のピーターハウス合唱団創設時にオルガニストに任命されたトーマス・ウィルソンの作品群は、彼の作曲家としての成長を辿ることができるため研究対象としても貴重なものとなっています。このCDでは、その伝統を今に伝えるピーターハウスの音楽監督と合唱団を起用。SATB=7/5/5/5名からなる合唱団は特有の温かみのあるサウンドでこれらの作品を聴かせてくれます。
(ナクソス・ジャパン)
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2025年7月発売タイトル
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2025年07月09日 16:30