THE CORONA
豪華ビート職人達が、新鋭ラテン・バンドの代表曲をリミックス!!
もう一回、自分でやり直したかった
「けっこう古い曲です。ライヴで育てて、CDになる前にガシガシ変わっていって。いま僕らがやってる音楽の形態が、最初に見えた曲でしたね」(古川尚篤、ドラム)。
「THE CORONAのね、原点っていうか」(Aya Lucca、キーボード)。
2003年、アフリカを起源とするチャランガというリズムとヨーロッパのクラシック音楽を融合した、優雅なラテン音楽を発信するバンドとして結成されたTHE CORONA。ヴォーカル、ドラム、ベース、ヴァイオリン、チェロ、キーボードを操る若き音楽家6人は、キューバ音楽やそのほかの民族音楽、さらにはジャズもロックも取り込んだサウンドで独自性を高め、現在に至っている。そんな彼らが冒頭で〈バンドの原点〉と位置づけている楽曲とは、2005年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバムのタイトル曲“淡々と煌々”のこと。THE CORONAの歴史は、この楽曲を抜きにして語ることができない。
「リハーサルでセッションしてた時に、この曲で使ってるバッキングのピアノとかベースのパターン──ラテンのスタンダード曲にあるパターンなんですけど──を、〈違うコードで弾いて〉ってリーダーが言い始めたんですよ。で、それを弾き始めたら、〈次は4ビートでいってみようか〉〈じゃあそれに日本語で歌つけよう〉っていう感じで、どんどんアイディアが出てきて。そこからさらに、ライヴで試行錯誤して、レコーディングに向けてアレンジをし直して、やっと完成した曲なんです。(曲の)作り方という意味で、原点的なんですよね」(Aya)。
「“淡々と煌々”は、もっと自由な発想じゃないですけど、〈ジャンルに縛られることなくやってみよう〉って初めて思った曲なんです。〈あれもこれもそれも全部一緒だよ〉って思えるようなビート感があって、音楽が二層に見える感じがあって」(古川)。
幾重ものヴァリエーションをもって刻まれるリズム。滑らかにフロウするヴォーカル。エレガントに、メランコリックにメロディを紡ぎゆくストリングス。それらを緻密に重ね合わせていくことで誕生した楽曲が、“淡々と煌々”だ。土の匂いと都会的な空気をあわせ持つこの楽曲が、このたびDJ Mitsu the Beats、CALM、GOMAという3人のビート・マスターによって新装され、“「淡々と煌々」RMX baskets”としてリリースされることとなった。上述の3ヴァージョンに加え、ボーナス・トラックとして古川によるリカヴァーも収録された本作は、それぞれがTHE CORONAというバンドの新しい一面を明るく照らし出している。
「もう一回、自分でやり直したいっていう気持ちがあったんですよ。オリジナルを録った時は、すごく重ねたんですね。ドラムも2台いるし、打楽器もいっぱいいて。だけど、もっとシンプルに出来るってことがわかってきたら、一発録りで録ってみたい、って思うようになったんです。オリジナルにも満足はしてるんですけど、一枚目(上述の『淡々と煌々』)、二枚目(セカンド・アルバム『裏と表のカサノヴァ』)はコンセプトを色濃く出してるんで、いろんな意味で勘違いされやすいっていう部分があって。僕ら、よくハードコア・ラテン・バンドって言われるんですけど、それは二枚目の話。二枚目はハードコア・ラテンだけど、一枚目はオーガニックな色が強い、トランスと言えばトランスみたいなニュアンスもあって……っていう感じなんですよね。だから今回のリカヴァーでは、一枚目、二枚目のニュアンスをうまく混ぜようと。もっといろんな人に僕らの音楽を知ってもらえるきっかけになればいいな、っていう意識で作りました」(古川)。
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