nhhmbase(2)
〈漢〉をどんどん磨き上げていくんです
――確かにnhhmbaseの曲って、見た目は複雑そうな形をしてるんだけど、ピースをひとつひとつ外してみると、意外とシンプルなんだなって思いますね。変拍子を多用していたりとか、一見トリッキーではあるけれど、実はすごくシンプルなポップ・ミュージックというか。
マモル 難しそうに聴こえるけど、いざコピーしてみるとフレーズ自体は簡単なんだな、っていう(笑)。
――ただ、その組み合わせ方がnhhmbaseの強烈な個性なんですよね。曲は、骨組みからマモルさんが作ってる?
マモル そうですね。ひとつの音像を作るために、まずは骨組みを作るんですけど、その骨組みを一度自分で解体して、なぜこの音がここにあるべきなのか、っていうところを練りますね。ギターとかベースとかドラムとか、一個のパートを全部メロディーとして考えて、その4つ……ヴォーカルも入れれば5つのメロディーが同時進行しても、全部ちゃんと聴こえるように、しかもごっちゃに聴こえないように組み立てていくんですよね。だから、一個一個のパーツがシンプルであればあるほど、組み合わせのおもしろさや骨組みのおもしろさが見えてくる。
――パートそれぞれが独立したメロディーを辿っている?
マモル そうですね。しかも、それぞれのパートで間の取り方が全然違うんですよ。同じリズムを刻んでるっていうことは、ほとんどない。だから、それぞれが独自のメロディーとして成り立つようにしたい、っていうのがありますね。
――歌メロも、かなり変わってますしね。歌詞もそう。何を言ってるのかわからないようでいて、漠然としたイメージはちゃんと膨らんでいくというか。
マモル そうですね。自分のなかでは、曲ごとの固有名詞に意味を持たせてたりするんですけど。
――ストーリーがある?
マモル はい。ぼやきみたいなものもあるんですけど……売れたいなあ、とか(笑)。この4人でやってて楽しいんだよ、みたいな内容が含まれつつも、ホント、自分の日記的な要素が強いですね。日記って言っても、まだ人に見せる方の日記なんですけど。
――話が戻った(笑)。鬼プロデューサーとの5日間が甦る(笑)。よっぽどの体験だったんですね(笑)。
マモル 聞いてくださいよ~、みたいな(笑)。
――聞きます、聞きます(笑)。それほどに怖い川口さんとヨシオカさんに、どうしてプロデュースをお願いしたんですか?
マモル リーダーって、すごい怖いイメージがあるじゃないですか。だけど、いざ話してみると気さくっていうか、優しい人なんですよ。だから今回も、僕らの意見をきいてくれるだろうし……とか思ってたんですけど、トシさんと組んで、完全に鬼になりましたね(笑)。ふたりで自分の〈オトコ〉像をどんどん磨き上げていくんですよ(笑)。〈オトコ〉っていうのは〈漢〉って書くんですけど(笑)。ふたりとも同じような性格なもんで、競い合っちゃうんですよね……なぜか、うちらの音源で(笑)。だから、片方がマイク6本で録ったら、もう片方は「じゃ、俺は5本でやるわ」って。そうすると次は「じゃ、俺は4本で」ってマイクの本数もどんどん減ってって(笑)。そのうち「ヴォーカルも一緒に録っちゃえよ」って感じになってきたんですけど、僕もライヴ直後で喉が嗄れてたんで、「ヴォーカルだけは別録りでお願いします」って、そこだけは許してもらったんですけど。
――許してもらった(笑)。
マモル ヴォーカルも5テイクぐらいは録って、サビだけ繋ぎ換えとかあるんだろうと思ってたんですけど、「サビだけすりかえる? お前、何言ってるんだ。漢だったら1テイク目か2テイク目、どっちかを使えよ」って(笑)。
――とにかく漢であることがテーマの(笑)。
マモル 「テイク・ワンの良さは超えられないんだよ。生々しさはテイク・ワンだよ」と。
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