rega(2)
ツアー中は、みんなのなかにイマジネーションが湧いてきてる
――その楽曲は、今回は前作のツアー中に作られたという。
井出 そうですね。
――1年に93本のライヴをこなしながら、合間にスタジオに入るって……死んじゃいますよ(全員笑)?
井出 前のツアーは凄かったっすね。ライヴやって、オフの日はネットでスタジオを探して予約して、丸一日使って曲作って……もうわけわかんなかたですけど、すごい充実してましたね。ホントに旅のアルバムになりました。
――スタジオには自主的に入ってたんですか?
青木 自主的に、誰に言われるでもなく。ツアー中は、スタジオ入ってるほうが気が紛れるというか。ライヴばっかやってて、合間にリラックスするためにジャムったりとか。
――音楽から離れるっていうんじゃないんですね。
三人 (不思議そうに)そうなんですよね。
青木 何やっていいのかわからんくなるんですよね。
加藤 暇を持て余すって感じで。
青木 ツアー中は、みんなのなかにイマジネーションが湧いてきてるんですよ。それをすぐに出したいっていうのがあるんで。
井出 たとえば海外のアーティストさんと一緒に演って受けた刺激を、その場で自分らに消化して曲を作ったり。
――曲は、各々のイマジネーションを膨らませつつ、ジャムって作っていく感じですか?
井出 そうですね。曲の発信は、僕か、ベースの彼なんですね。フレーズを持ってきたり、曲のイメージをメンバーに伝えたりして、音を出しながらひとつずつ形にしていく感じですかね。
――楽器同士、会話してますよね。
加藤 そうですね。
――その会話の発端は、こういうフレーズをやりたいとか、そういうところから始まっているという。
青木 そうですね。短い小節の話から始まりますね。このギターにこのギターが絡んで、そこにこのドラムが乗って……って演ってみる。それでいいものができてきたら、「ここからどこに向かおう?」って物語を作っていく。
――その物語は、曲作りの段階から明確なんですか? セルフ・ライナーノーツによると、かなり具体的な物語がありますよね?
青木 それは……後付けです(笑)。個々がどんな音を出してくるかわからないときは、物語が予期せぬ方向にいきますし。だから曲が完成してみて、最終的に自分らが気付かされるっていうか。「ああ、こういう曲になった」って。
井出 俺が持っていく曲に関しては、最初からイメージがあったりもします。たとえば最後の“BUS”っていう曲は、夜行バスに乗ったときにメロディーが浮かんだんで、そのときの気持ちをみんなに伝えて。〈もう帰っちゃうんだよ〉みたいな曲にしたいって。そこから広げることもありますね。
――長かったツアーから帰っちゃうんだよ、っていう。さっきもおっしゃってましたけど、本作は本当に〈ツアー=旅〉のアルバムというか、風景がどんどん移り変わっていくようなイメージが思い浮かぶ作品になっていると思います。
井出 それは嬉しい意見ですね。流れを作ろうと思って曲を生んでいたわけではなくて、ホントに旅してて自然にできたものなので、いろんな風景が見えるっていうのは、願ってもないことというか。バリバリ嬉しいですね。相当嬉しいですね(笑)。
――わ、わかりました(笑)。風景がどんどん移り変わるっていうのは、曲単位でもそうですよね。フレーズがしなやかに変化していく。Aメロに戻っているようで実はAじゃなかったりとか、そういう微妙な変化がおもしろいです。
青木 それはメンバーと同じ楽しみ方ですね(一同笑)。
――じゃあ、ご自分の曲は割と聴くほうですか?
三人 聴きますね。
井出 今回は、「これ、千葉のスタジオでできたな」とか、「大阪で時間かかったよねー」とか思うことが多いですね。なかなかないですからね、全国で曲を作るってことは。