GENERAL HEAD MOUNTAIN(3)
大暴投みたいな感じのバンドになりたい
――なるほどねえ。出来上がったアルバムを振り返って、25歳といういまのポイントで、どういうところが成長したと思います?
松尾 前よりは自分のことを考えるようになりました。前は何も考えなかったから。本当にダルかったんですよね。何というのかな、足をバタバタさせて「ダルいぜ!」っていうような感じ。「クソや!」って思ってた。そういう毎日でしたね。
――本当に? だって、何かがうまくいってないわけじゃないでしょう?
松尾 全部うまくいってるんですよ。お利口さんに、へへへって言ってるんで。でもなんかダルかった。
――何が満たされてないんでしょうかね?
松尾 まあ、頭が悪いのかな(笑)。一個イヤなことがあると、全部イヤになるんです。ワガママなんじゃないかな。
――その感覚を音楽で発散できるというわけでもなくて。
松尾 発散じゃないですね。溜まる一方です。だからまあ、音楽を捨てたい日のほうが多いんですよ。「もう何もやりたくねえ!」ってなる。
――じゃあ、曲を作れば作るほど苛立ちが高まっていくわけだ。
松尾 そう。なんだかもう、「うわっ!」てなりますね。
――作らないほうが楽ですね。
松尾 そうなんです。けど、なんか作っちゃうんです。ドMなんじゃないですか(笑)。まあ、結局音楽が好きなんでしょうけどね。音楽がないと、することなくて困るし。僕、追い込まれたら強いんですよ。これはこの日までに作るとか、外したライヴはできないって時は、結構いい感じでできる。
――追い込まれた時にいいものができるということは、音楽が自分を追い込むんですね。
松尾 そうだと思います。僕もそういうふうに思ってます……なんかカウンセラーみたいですね(笑)。
――では、今後GENERAL HEAD MOUNTAINというバンドをどういうふうにしていきたいと思ってます?
松尾 そうだなあ、大暴投みたいな感じがいいですね。全力でボールを投げて、「おい!」って言われるっていう。そういう感じのバンドになればいいなって思います。ストライクには投げないですね。ストライクゾーンを狙って投げますけど、そこをカスりながら結局どっかにいくぐらいがいいなって。球威重視ですね。
――バンドの野望はあります?
松尾 これで100万枚売れたら楽しいなって思います。ただ、日本は終わるなって思いますけど(笑)。その金で喫茶店でもやりながらのんびりと生きていきます。やることはやったって。まあ、基本的にあまのじゃくなんですよね。
――活動の拠点はずっと宮崎に置こうと思ってます?
松尾 まあ、許されるならば宮崎にいたいなって思いますね。東京に来ても、「イヤだ」って言って宮崎に帰りそうなんですよ。音楽を長く続けるなら宮崎にいたほうがいいなって思う。曲も書けるし。やっぱ実家があるというのがいちばんじゃないですか。でも、周りの目は冷たいですよ。僕なんか、ロン毛だし音楽やってるし、宮崎はだいぶ遅れてるんで、いまだに〈ロック=ヤンキー〉ぐらいに思ってる人もいますし。
――先ほど「音楽を捨てたいと思う日も多い」と言ってましたけれど、それでも音楽を続けていこうと思う理由って何だと思います?
松尾 結局、歌うのが好きなんだと思います。「歌いたくない」と思って歌ってる時も、実はそこまでイヤじゃないのかなとか。たぶん好きなんでしょうね。
――いろんなところでひねくれ曲がっている自分の性格が、歌っている時は真っ直ぐになっているというような?
松尾 うん、まだまともなんじゃないですかね(笑)。それに、頭のなかにあるものがCDになるのは、快感というか、嬉しい。そこかな、やっぱり。「ほら、おれの頭んなかはどうだ!」っていう。そういうのがあるのかもしれません。
――詩集も作りましたもんね。そういう、頭のなかを人に見せたい欲は強いわけですよね。
松尾 人よりは強いような気がします。だから……音楽を選ばなかったらどうなってたんだろうな?っていうことは思いますね。こんな性格だから、失敗してるんじゃないですかね。音楽はみんなでやるから、メンバーやスタッフもフォローしてくれたりもしますけど。一人だったら、きっとダメでしょうね。そんなことを最近思います。
――バンドに自分が繋ぎ止められている、みたいな?
松尾 そうですね。バンドやってなかったら、工場で働いて、それで結婚して、子供ができたくらいに離婚してるんじゃないですかね。田舎にありがちなパターンで。そんな気がしますけど。
――バンド、続いてほしいなって思います(笑)。
松尾 そうっすね。ないと危ないですね(笑)。頑張りたいと思います。
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