インタビュー

GENERAL HEAD MOUNTAIN 『木漏れ日にツキル』 松尾



  切実な衝動だけを研ぎ澄ませ、その他のものを一切剥ぎ取ったようなロック。それがGENERAL HEAD MOUNTAINというバンドが放つ音楽だ。ギター、ベース、ドラムスというスリー・ピースの編成は決して珍しいものではないけれど、それをここまで切迫感に満ちたものとして鳴らすバンドはいまの日本のロック・シーンを見回してもなかなかいないのではないだろうか。そういう、火花が散るような感覚を覚える全7曲だ。ギターのサウンド・アドヴァイザーには、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers、toddle)が参加。ライヴの臨場感そのままの爆音がパッケージされている。

 いまも地元・宮崎に拠点を置く彼ら。昨年6月には椎名林檎“罪と罰”のカヴァーも収録した初のフル・アルバム『月かなしブルー』をリリースし、インディーながら徐々に全国区での知名度を上げてきた。新作には、そういう成長著しい彼らの現在地点が示されている。流麗なストリングスによるインストゥルメンタルのタイトル・トラックに始まり、わずか35秒でざらついた都市の風景を描く“東京”、轟音の上に感動的なメロディーが放たれる“光”など、彼らの楽曲が持つ焦燥感はさらに熱量を増している。その一方で、故郷の風景と大人になった自分を優しい眼差しで歌う“足音”のようなバラードも存在感を高めており、〈静〉と〈動〉のダイナミクスが作品に鮮やかなコントラストを生み出している。

 楽曲はすべてヴォーカル/ベースの松尾昭彦によるもの。全編日本語の歌詞に宿る彼独特の美学も聴きどころだろう。アクは強いが、強い中毒性を持つバンドになっていく可能性を感じさせる。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:42

文/柴 那典

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