インタビュー

スーパーノア(2)

変拍子を変拍子として聴かせないポップな感じ

――スーパーノアはそういうエピソードはないですか?……というか、今回の作品の前のデモ音源の段階で、エンジニアがoakの三浦さんっていうのはどういう繋がりなんですか?

岩橋「これは完全に、たまたま共演したことがきっかけで仲良くなったっていう感じですね。気に入ってもらえて」

赤井「最初はすごい怖い人かと思ったんですけど、実はちゃんと聴いてくれてて」

井戸「そうだね。すごいいい人やった(笑)」

岩橋「なんで過去形なん(笑)? きっと、今日も元気にoakをやってるよ(笑)」

赤井「三浦さんのほうから録らないか?って声かけてもらって録ったんだよね?」

――それまでは音源を作ろうっていう意識はなかったんですか?

井戸「一応、MTRで作っていて……」

赤井「コンスタントに作ってたね」

岩橋「曲が出揃ってすぐぐらいにもう最初のデモ音源は作って、それをしばらく無料配布とかしてて。で、その次の年に自分らでできる全力の感じで、曲数もけっこう多いものをまた作って、それを委託で売ったりとかはしましたけどね」

井戸「だからわりと、CDを作るのは好きですね。音源を作ろうっていう意識はずーっとありました」

――なるほど。では、今回の作品の話に移りますが。資料と同じ表現になってしまうんですけど、今作は京都らしい〈盆地特有の蒸し暑さ〉が脳裏に浮かばずにはいられない、熱のこもったロック・サウンドがものすごく印象的で。むわっという湿度が音から伝わってくるというか。かと思えば、一気に時代を遡らせるようなノスタルジーもあって……まず、フォークの影響は窺えるかな、と。

井戸「そうですね。音楽を聴きはじめたきっかけは、ハード・ロックとかメタルとかではなくて、ビートルズであったりとか、歌が中心のものだったので……そうですね、フォーキーな部分は出てると思います」

――フォークにカテゴライズされるアーティストでは、どこらへんを聴いてます?

井戸「うーん……いまだったら、ニック・ドレイクさん」

赤井「〈さん〉付け(笑)。知り合いみたい(笑)」

井戸「あと、バート・ヤンシュ……さん(笑)とかが、アコギを使っていろいろやる人で言えば、好きですね」

――日本のフォークは通ってないですか?

井戸「いわゆるその、井上陽水とかはあんまり聴いてないですね。聴いてない感じも(スーパーノアの曲に)出てると思います(笑)」

――あと、変拍子とか転調を極端に効かせることでドラマ性を演出しているバンドが多いなか、スーパーノアは変拍子や転調を滑らかに採り入れていて、そこが個性かなって思います。よく聴くと、ここ、変拍子だよね!?……ぐらいにさり気ない(笑)。

赤井「変拍子をやろうとしてるわけじゃないというか……歌の尺に合わせたら(普通の譜割りから)はみ出ちゃった、みたいな(笑)」

井戸「変拍子をすごくプッシュして聴かせたいわけではなくて、赤井君が言った通り、自分のリズムでやってみたら、それが変拍子やったっていうほうが近い気がします。変拍子を変拍子として聴かせないポップな感じは、確かにあると思いますね」

赤井「彼(井戸)があげてきた曲を聴くと、無理やり四分の四とかに収めるよりも、逆に自然だったのかなあと思うんですよね。ギターのアレンジを考える時も、変拍子をやるからここで譜割りを整えて、とかそういうことは考えずに、パッと出てきて気持ちいい音をやろうって思ってます」

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年07月08日 18:00

更新: 2009年07月13日 18:48

文/土田 真弓