FACT(2)
まずは良いリフありき
――そんなさまざまなことが起こったにも関わらず、前作から1年も待たずにニュー・アルバム『In the blink of an eye』がリリースされるのが驚きで。
Eiji「僕が腕を怪我してしまって、3か月くらいドラムを叩けなかったんです。ツアーもキャンセルになったので、その時間が空いたんですよ。その期間に、集中して曲を書いたという感じですね」
Takahiro「前作『FACT』の段階で、次の作品の構想はだいぶ練っていたんです。ぼちぼち曲も作りはじめていたので、そのおかげで早く出せたというのもありますね」
――そもそも、FACTの制作スタイルはどのようなものなのでしょうか?
Kazuki「前々作以降、あらかじめカッチリとコンセプトを固めて作る、というようなことはしていないのですが、大まかな方向性をプロデューサーのマイケル“エルヴィス”バスケットといっしょに決めて作り上げる、というのが『FACT』以降の制作スタイルという感じですね」
Takahiro「まずは良いリフ。FACTの場合、それに尽きるんですよね。基本的にはカッコ良いリフが生まれたら、そこから曲が発展していくんですよ」
――FACTって、メロディーのキャッチーさが大きな特徴のひとつかと思うのですが、メロディー先行で曲が生まれることはないんですか?
Kazuki「メロディーは最後ですね。曲がほとんどできたら、後はみんなでカラオケ大会みたいな感じで(笑)」
Takahiro「FACTが毎回作曲の時に掲げる目標のひとつに、〈イントロを聴いただけでFACTだとわかる音楽を作る〉というのがあるんです。もちろん、Hiroのヴォーカルが入れば〈FACTだ〉とわかってもらえると思うんですけど、できればイントロのカッコ良さだけでFACTだとわかってもらえるくらいのインパクトを作りたくて。しかも活動の根幹に、〈オリジナルの音楽を作り続けたい〉という思いがあるので、単純なリフではダメなんです」
Kazuki「Hiroの歌が乗ったら良くなるのははじめからわかっているから、そこだけで勝負するのは止めようと。だから、いくら良いメロディーが思い付いても、カッコいいリフが生まれなかったらその曲はボツになりますからね。結局は、自分たちが納得できるかできないかの問題でもあるんですけど、納得のできないものはひとつも世に出したくありませんし。自分自身、ギターの音に惚れてギターを始めているので、イントロのカッコ良さから曲を最後まで楽しんでもらおうっていう、こだわりの表れかもしれません」
――ということは、ギターの2人がメインで作曲を主導していくわけですね?
Kazuki「そうなりますね。でも最終的には、それぞれの持ち寄ったものが最高のバランスで収まるように作っていきます。あと、ギターで言えば、僕はリフ中心に、Takahiroはリズムの刻み方を中心に考えていて」
Tomohiro「何気にこのやり方以外では、曲を作ったことがないですね(笑)」
Eiji「そこから先は、ジャムしながら自由に構想を練っていくか、ギター2人の構想に則って制作していくか。恐らくその2パターンですね」
Tomohiro「FACTは、みんなで作っている感じがすごくあります。確かにギターのリフからスタートすることも多いけど、誰がイニシアティヴを取ることもない。みんなで揉んでいって、それを最善の形にまで高めていくというか。この『In the blink of an eye』も同じような作り方で生まれていますね」