インタビュー

環ROYの〈フリー〉な世界観を支える各界の面々――(2)

 

【CONFLICT】

Jar-BeatやDJ KENSEIとの絡みで注目され、2006年には『Confirmation+Departure』(soup-disk)もリリースしているアンダーグラウンドな2人組。『BREAK BOY』では“任務遂行”と“creation”に芯の太いヒップホップ・ビートを提供している。

 

【三浦康嗣】

いとうせいこうを加えての初作『everyday is a symphony』(commmons)で文系ヒップホップの最高峰を更新した□□□の中心人物。『BREAK BOY』で“break boy in the dream”と“うるせぇ”を制作しているが、昨年のコンピ『PUBLIC/IMAGE.SOUNDS』で□□□×環ROYとしてのコラボ曲“宝くじ”を披露していた。近年は土屋アンナやAira Mitsukiと絡むなど活動の幅を広げている。

 

【Himuro Yoshiteru】

新作中の“バニシングポイント”と“J-RAP”を手掛ける彼もまた、海外での評価がより高い人だ。2008年の『Here and There』(ファイル)に続く新作もまもなく登場する模様で、エレクトロニカ色もまぶしたスケールの大きいブレイクビーツがまた楽しめるはず。

 

【SPITTERS DEN】

『MAD POP』への参加を経て『BREAK BOY』で“六年間”を手掛けたのは、HIFANAのコンピ『HIFANA Presents 南風ケーブル弐』(南風/EMI Music Japan)にも名を連ねた、BAYAKAのTeruoのプロジェクト。ちなみにTeruo a.k.a. BAYAKA名義ではアルバムを2枚出している。

 

【BUN】

参加コンピ『RHYTHM OF GENESIS THE ALBUM』(NUCLEATE)も出たばかりの彼は、2006年の『I AM NOT TALKING ABOUT COMMERCIAL SHIT!』が話題を呼んだビートメイカー。近年はLA地下シーンでの評価が高く、『BREAK BOY』での“innercity blues”や、B.I.G. JOEとの仕事も聴きモノだ。

 

【others...】

KAKATOを組んでいる鎮座DOPENESSは『COPYDOGS』に参加もしていたし、独自のダブステップ道を歩むKKのアルバムにもROYは連続参戦していた。リミックスで絡んだ人となると、やけのはらやChew-Z、BOGULTA、MYSSらもいる。ただ、ここに紹介した〈多彩〉な面々の大半は『Perfect!』『PUBLIC/IMAGE.SOUNDS』のような〈ジャンルレス〉精神を貫く試みでよく挙がる名前なわけで、ある種のドレスコードに基づく支持基盤が存在することは想像できよう。ゆえに、セクトが変わっただけなんじゃん?と思う人もいるかもしれない。ただ、何も聴かずにそう判断することは、〈USのラッパー〉や〈日本語ラップ〉をステレオタイプ化して対立概念化する行為と何ら変わらない。土地が広かろうが狭かろうが、広がりがあろうがなかろうが、やる側はやりたいようにやればいいし、リスナーもそんな(本当は存在しない)壁など気にしないでいろんな村に出入りしていろいろ楽しめばいいのだ。

▼others...に登場したアーティストの関連盤。

左から、KAKATOの楽曲を収めたDJ MOTIVEの2008年作『CURE』(MOHAWKS)、KKの2008年作『in the Khaos '69』(Lo-Vibes)、曽我部恵一の監修した2008年のコンピ『Perfect! -Tokyo Independent Music-』(ROSE)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年03月17日 18:01

更新: 2010年03月20日 22:16

ソース: bounce 319号 (2010年3月25日発行)

文/出嶌孝次