インタビュー

キーワードから紐解く七尾のあれこれ――(1)

 

【先輩/盟友】彼のキャリアにおいて重要な人物といえば、まず石野卓球だろう。2人のコラボ・シングル“ラスト・シーン”をきっかけに意気投合し、公私に渡って交流を深めた模様。卓球のソロや電気グルーヴの作品など多くに招かれている。また近年は即興セッションにも力を入れる七尾だが、そのきっかけはUAとの仕事やCOMBOPIANOでも活躍するギタリストである内橋和久との出会いが大きいようだ。そしてもっとも新しい盟友というと、やはりやけのはらか。ロング・セールスとなっている共演曲“Rollin' Rollin'”は七尾の認知をより広いものとしたはずだ。*澤田

 

▼関連盤を紹介。

左から、石野卓球の2004年作『TITLE #2+#3』(キューン)、七尾旅人×やけのはらの2009年のシングル『rollin' rollin'』(felicity)

 

【カヴァー】これまで音源としての発表はないものの、ライヴではほぼ毎回何がしかのカヴァーを披露している七尾。そのレパートリーは、〈DOMMUNE〉出演時にも演奏された華原朋美“I'm proud”と電気グルーヴ“虹”やB'z“Easy Come, Easy Go!”といった90年代のJ-Popや、ルー・リード“Walk On The Wild Side”、エルトン・ジョン“Your Song”、ルイ・アームストロング“What A Wonderful World”などの洋楽ナンバーまで実にヴァラエティー豊か。変わり種としてはECD“東京を戦場に”というのもある……ってことで、近々カヴァー・アルバムを求む! ちなみにUAは最新カヴァー集で『billion voices』収録の“私の赤ちゃん”を本家の音源発表に先駆けてカヴァー。*北野

 

▼関連盤を紹介。

左から、華原朋美のベスト盤『Super Best Singles〜10th anniversary』(ジェネオン・ユニバーサル)、ECDの2004年作『FINAL JUNKY』(FINAL JUNKY/Pヴァイン)、UAのカヴァー集『カバ』(スピードスター)

 

【百人組手】七尾が敬愛するアーティストを迎えて即興セッションを繰り広げる、自身主催の異種格闘ライヴ・イヴェント。これまでに2度開催されており、2008年の〈Vol.1〉ではrei harakamiやL?K?OとU-zhaanのユニットであるOigoru、group_inouらが出演したほか、彼とは故縁の川本真琴も飛び入りで参加している。また今年1月に行われた〈Vol.2〉では七尾がDJ BAKUやROVOとギター片手に渡り合い、後藤まりこ(ミドリ)との歌合戦では豊田道倫が放送禁止曲で乱入するなど、おそらく二度と観ることのできない奇跡的な瞬間が約5時間(!)に渡って次々とステージ上で展開された。エフェクターやサンプラーを駆使した〈声〉の即興演奏が存分に堪能できるイヴェントでもある。*北野

 

▼関連盤を紹介。

左から、rei harakamiの編集盤『あさげ -selected re-mix & re-arrangement works 1』(ミュージックマイン)、Oigoruの2008年作『Borsha Kaal』(HIGH CONTAST)、DJ BAKUの2009年作『12JAPS』(POPGROUP)、ROVOの2008年作『NUOU』(ROVO organization)、ミドリの2010年作『shinsekai』(ソニー)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年06月30日 18:01

ソース: bounce 322号 (2010年6月25日発行)

文/北野 創、澤田大輔