INTERVIEW(1)――自分たちが丁寧にできること
自分たちが丁寧にできること
――2008年2月に結成ということですが、最初からめざしている音楽性が明確にあったんですか?
永原真夏(ヴォーカル)「4人でバンドを始めてから5年ぐらい経っていて、このメンバーでも、もう3つ目のバンドで。ギターがいたこともあったりだとか、音楽性が二転三転していくなかで、〈次は、歌のバンドをやりたいね〉って始めたのがSEBASTIAN Xなんです。その前は、若かったのでパンクっぽいやつをやってたりとか。いちばん最初は、私とキーボードの(工藤)歩里とのツイン・ヴォーカルで、歩里はキーボードを弾いていなくて」
――もったいない! では、歌のバンドをやりたくなったというのはどうしてですか?
真夏「たぶん、前やってたバンドが、少し激しめで叫んだりすることが多かったからかと思います。沖山君のドラムも速くて。キーボードも、いまはちゃんと弾いてるけど、何個かの鍵盤を連打とかで。だけどそういうことよりも、ただ平然と演るっていう素晴らしさを謳歌したいなって思ったんですよ。奇を衒ったことではなくて」
沖山良太(ドラムス)「もう少し丁寧なことをしてみたかったっていうか」
真夏「激しいのが丁寧にできる人だったら全然良かったと思うんです。アンダーグラウンドのシーンでは、激しいのを丁寧にやれてる人もいっぱいいたし。でも自分たちはそういうタイプではなくて、〈自分たちが丁寧にできることって何かな?〉って考えてみたら、それがいわゆる歌モノだったのかなあと」
――そこから曲作りを始めて2009年の11月にファースト・ミニ・アルバム『ワンダフル・ワールド』に繋がるわけですよね?
真夏「そうですね」
――そして、さらに9か月のスパンで今回のセカンド・ミニ・アルバム『僕らのファンタジー』が完成して。前作での経験が活かされている部分はありますか?
真夏「やっぱりファーストの時は、流通されるっていうことがどういうことかわからなかったんですよ。それまでは自分とお客さんとの距離感が近かったから、CDが出来たらその日から売れるし、手渡しできるし、っていう環境だったのが、いろんなものを介して自分たちのCDが並んでいくことになって。なんか、絶対嫌なこともあるだろう、って思って、すごいギラギラしながらいろんなものを見張ってて(笑)」
――あはは(笑)。
真夏「めっちゃ見張ってましたよ! (取材に立ち会ったスタッフを見て)あいつ、なんか変なことするんじゃないか、って(笑)。でも、嫌なことはなかったんですよね。だから、セカンドではいろんな不安要素がなくなって、すごく安心して、寝っころがって作れた感じですね」
沖山「最初に作った時はわからないことが多すぎて。人に対してもそうだし、制作環境に対してもそうだし。ファーストの時は、本質的には必要のないことを考えていたところが、今回はそういう心配が少なくて。曲を作るってことには一生懸命だったんですけど、それ以外のことに気が散らなかったから、それが良かったと思います」
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