マスドレと、マスドレにまつわる色とりどりな男たち――(1)
MASS OF THE FERMENTING DREGS 『MASS OF THE FERMENTING DREGS』 AVOCADO(2008)
NYのタルボックス・ロード・スタジオで録音された2曲を収録。鼓膜を震わせる鮮烈な轟音を一発録りで封じた本作で、彼女たちは一躍新世代オルタナ・バンドの注目株に。そのなかで“Skabetty”がセンティメンタルな異彩を放っている。当時はMCも少なく、髪を振り乱してのアグレッシヴなプレイも話題に。*土田
MASS OF THE FERMENTING DREGS 『ワールドイズユアーズ』 AVOCADO(2009)
SLOTH LOVE CHUNKSとの共演が縁で中尾憲太郎を共同プロデューサーに迎えた2作目。強靭なリズム隊とシャープなギターが絡み合う、バンド演奏のダイナミズムはそのままに、表現力を増した宮本のヴォーカルと言葉が繊細な感情の機微を描き出して楽曲のポップ度をグッと上げることに成功している。*金子
MASS OF THE FERMENTING DREGS “ひきずるビート/まで。” EMI Music Japan(2010)
サポート・メンバーだった吉野功が正式加入し、ふたたび3人組となって発表された両A面のメジャー・デビュー・シングル。アグレッシヴかつプログレッシヴな“ひきずるビート”と、ポップなメロディーが印象的な“まで。”で、彼らの持つ二面性をしっかり提示した。*金子
hide with Spread Beaver 『JA-ZOO』 ユニバーサル(1998)
宮本と石本にとって、音楽的な原体験に近い存在がhide(宮本のTwitterのプロフィール欄には〈hideちゃんは永遠のロックスターです〉とのコメントが)。また、彼の別プロジェクト=zilchが洋楽への入り口だったとデビュー当時の彼女たちは語っている。*土田
NIRVANA 『Nevermind』 DGC/Geffen(1991)
ロック初心者だった高校時代の宮本に〈ギターとベースは歪んでるもん〉という認識を刷り込んだのは、ニルヴァーナやホール、フー・ファイターズなどの90年代のグランジ〜オルタナ・バンドたち。ちなみに宮本は〈音の好みが90年代っぽい〉と吉野によく言われるそう。*土田
9mm Parabellum Bullet 『Revolutionary』 EMI Music Japan(2010)
音楽性も近く、同年代ということもあってかねてより仲の良い両者。マスドレのCDデビュー前に神戸で初共演し、その後9mmのツアーに参加したり、菅原卓郎がマスドレのライヴに乱入したりと交流が続いている。マスドレの初作発表時には〈女版9mm〉なんて言われてたっけ。*金子
ZAZEN BOYS 『ZAZEN BOYS 4』 MATSURI STUDIO(2008)
マーキュリー・レヴのベーシストにして世界最高峰のプロデューサーでもあるデイヴ・フリッドマンは、マスドレのデビュー作のうち2曲に参加。彼が手掛けた日本のロック名盤は数多く、ナンバーガール〜ZAZEN BOYSの諸作はなかでも有名かと。*土田