インタビュー

serial TV drama “ユニコーンの角”

 

短い助走から一気の加速!──ヴォーカリスト交代劇を経て、ニュー・シングル“ユニコーンの角”完成!

 

 

serial TV dramaがニュー・シングル“ユニコーンの角”を完成させた。彼らがミニ・アルバム『マストバイ』でメジャー移籍したのは7月末のこと。そこから彼らは、怒涛の日々を過ごしてきた。というのも、『マストバイ』のリリース直後に、ヴォーカルの伊藤文暁が脱退。数日後に控えていた〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL〉には、活動休止中のthe courtの鴇崎智史を迎えて出演した。その後、バンドは鴇崎を正式メンバーとして迎え、『マストバイ』のリリース・ツアーを廻り、このニュー・シングルの制作に入ったのだ。

「1年とか2年で経験することを、この2、3か月でやっちゃいましたね」(鴇崎智史、ヴォーカル)。

「だいぶ早いスピードで馴染んでる感じはしますね。この短い期間がめちゃめちゃハード・スケジュールだったんで、考える暇もなく、一緒にやってることが生活の一部になっちゃったっていう」(新井弘毅、ギター)。

バンドの顔=ヴォーカリストの交代という危機を乗り越えた彼ら。しかも鴇崎は、the courtの休止と共に、音楽活動をやめようと考えていたのだという。そんな彼を再びステージに引き戻した理由は、もともとの仲の良さだけではなく、プロデューサー的な視点を持つ新井が思う、鴇崎の魅力にある。

「ヴォーカリストとして、まず歌に力があって、それだけで人を納得させることができる。あとは人の心を捉えることができるというか、目の前のオーディエンスを楽しませることができるエンターテイナーだと思っています」(新井)。

「ライヴでは、オーディエンスの見本になろうと思うんです。俺ほどバカになんなくてもいいけど、二、三歩あとでいいからどんどんバカになって欲しいっていう(笑)」(鴇崎)。

そんな新生serial TV dramaの魅力を活かしたシングルが“ユニコーンの角”である。ぐいぐいオーディエンスを引っ張っていく力に満ちた、彼ら流のパーティー・チューンである表題曲。そして、2曲目から4曲目までは、なんと〈ROCK SAVES YOU~栄光への反逆~〉という組曲に。ヴォーカルが交代して初めての音源であるというこのタイミングで、思いっきり主張を詰め込んでくるところが、何とも頼もしい!

「アーティストとしては、シングルでも〈作品〉だと思ってるので、そこはわかってもらいたいですね。音楽を聴かない人に音楽の楽しさを知ってもらいたいってずっと思ってるので、そういう人たちをどう引きずり込むかを考えると、トツ(鴇崎)さんみたいな優しい声は武器だと思うし。トツさんはいろんなタイプの楽曲を最大限の振り幅で歌いこなせる人だけど、ただ歌えてるだけじゃなく、ほんとに説得力のあるところまで歌いこなせるってことを、俺としては世の中にプレゼンしたかったので、いろんな表現方法ができる楽曲を作った感じですね」(新井)。

「いろんな曲を歌えるのは、逆に欠点だと思ってたんです。でも、そこを最大限に引き出してくれたのがうれしかったし、自信になりましたね」(鴇崎)。

キッズの飛び跳ねる姿が見えるような楽曲から、過去のロック偉人へのオマージュとも受け取れる楽曲、そしてラジオで流れたらうっとり聴き惚れそうになるバラードまで収められており、その中で、鴇崎の美しい声が自由に泳ぎ回り、バンドの大胆なセンスが炸裂している。このシングルに収録された4曲だけで、今後の遥かなる可能性が見えるようだ。

「こいつ(新井)の作曲部屋に行くとほんとワクワクしちゃって、これいいな!これもいいな!って、クソガキみたいになるんですよね(笑)。こっちが楽しまないと、聴いてる人が楽しいわけないから、これは絶対イイ流れなんじゃないかなと思いますね」(鴇崎)。

「今回のシングルもそうですけど、馬鹿げてるけどメチャメチャちゃんとやってるし、こんな馬鹿げたことを真面目にやること自体がおもしろくないですかっていう。そこをウチらはめざしてるんで。とにかくカッコいいものを作っていくだけです」(新井)。

 

▼関連盤を紹介。

serial TV dramaのメジャー・ファースト・ミニ・アルバムとなった『マストバイ』(ソニー)

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掲載: 2010年12月13日 12:30

更新: 2010年12月13日 12:30

ソース: bounce 327号 (2010年11月25日発行)

インタヴュー・文/高橋美穂