広がっていくレインボー・ヴォイスの軌跡
早い段階からMAKAIの作品でヴォーカル/作詞などを手掛けてもいた宏実だが、その名前がジワジワと広がっていったきっかけとして、やはりCIMBAとのコンビネーションは外せない。彼のデビュー作に招かれて抜群の相性を見せたデュエット“香水”はCIMBAにとっても重要な一曲となり、宏実のデビュー後は彼が作詞を手掛けるなど交流は続いている。このデュエットがCIMBAの最新作にて“奇跡”として実現していたのも記憶に新しい。
また、それ以前からの縁としては、2005年に配信リリースされた実質的なデビュー曲“Recover”(名曲!)を送り出したNao'ymtの存在も重要。R&B畑ではHI-Dも自身のプロデュース・シリーズ〈Special Calling〉にはすべて宏実を起用してきており、彼女の歌声にはクリエイターなら歌わせたくなる何かがあるのだろう。
そんな何かを感じ取るのはヒップホップ方面でも当然同じ。配信ヒットを記録したWISEの“ふりむかないで”や、サイプレス上野+ERONE+山口リサと声を合わせたDJ CELORYの“Boogie Wonderland”などコラボの振り幅も広いが、もともとMr. Low-Dの“Play Back The Radio~おつかれSUNDAY~”(2007年)が人気だった彼女だけに、いわゆるウェッサイ系の仕事はどれも抜群。最近ではGIPPERやDIX-T、DJ★GOとのコラボが素晴らしかった。
▼関連盤を紹介。
左から、CIMBAの2010年作『Words and Notes』(EXIT LINE)、Nao'ymtによる2008年のプロデュース・アルバム『Nao'ymt WIT' -1st Season-』(ユニバーサル)、HI-Dによる2008年のプロデュース・アルバム『Special Calling』(ビクター)、Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORYによる2010年のミックスCD『BEATS LEGEND ~BOOGIE WONDERLAND~』(plusGROUND)、DJ★GOの2010年作『LONG TIME BLUE』(HOOD SOUND/Village Again)
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掲載: 2011年02月21日 17:46
更新: 2011年02月21日 17:46
ソース: bounce 328号 (2010年12月25日発行)
文/出嶌孝次