インタビュー

渡る世間は鬼の作品ばかり……主要アルバムと客演作でそのキャリアを振り返ってみよう

 

鬼一家 『赤落』 赤落PRODUCTION(2008)

鬼を中心にD-EARTHやBLOM、K.E.Iが集まったクルー名義の作品。とはいえ半数以上の楽曲にて全体のムードを牽引するのは鬼で、軽やかな口ぶりで剥き身の過去を吐き出す“小名浜”や“甘い思い出”などの逸曲が目白押しだ。I-DeAやPUNPEE、NORIKIYOらのサポートも光る。

鬼 『獄窓』 赤落PRODUCTION(2009)

表題に現れている通り、閉ざされた世界で鈍色のリリシズムが開花した初作。I-DeAによるさすらいソウル系の大ネタ使いがハマった冒頭の“いきがり”で掴まれ、哀愁を掻き立てるビートと漂泊する言葉の重さに引き込まれる。冷え冷えとしたノスタルジーに溢れるBESとの“糸”が出色。

ピンゾロ 『P.P.P.』 VYBE MUSIC(2010)

別名〈鬼二家〉……ベーシストのTOM(The FUNKY PERMANENTS)+ドラマーのDr. Kakinuma(犬式)と組んだバンドでの初作。いなせで粋なカミソリ系のスウィング感は、『湊』にも繋がる昭和の盛り場ジャズ的な格好良さに溢れている。一家のK.E.Iや鎮座DOPENESSも好演。

DJ KAZZMATAZZ 『鬼ころし: 和UNK EDITION』 赤落PRODUCTION(2010)

ストリート流通だったDJ OLDFASHIONの『鬼ころし』に続くミックスCDで、KAZZMATAZZらしい和の情緒をエクスクルーシヴも交えて表現した一枚。LIBROが10MCのリレーを仕切る“十人十色”、漢も加えた“糸~意図~REMIX”に注目!

 

鬼が文字通りの“挨拶”で表舞台に登場したのは、SACが2007年に発表した『FEEL OR BEEF』でのこと。その直後に『CONCRETE GREEN 5』へ提供した“甘い思い出”で脚光を浴びている。SCARS絡みでは、STICKYとの“同じ環境 違う場所”もこのコラボならではのダークな佳曲だ。“見えない子供 見てない大人”の制作やミックスCD『鬼ころし』で縁深いDJ OLDFASHIONのリーダー作『THE OLD STRAIGHT TRACKS』では“沖縄放浪記”などに登場(BLOM & K.E.Iの“映らぬ真実”)し、そこにも参加していたキリコとは“極悪JAZZ”で手の合うところを見せている。赤落プロの作品では、D-EARTHのインスト作『SOUL REBEL NO.1』に収められた鬼一家での新曲“仕込み”もチェックされたし。

 

▼鬼の参加した作品を一部紹介。

左から、SACの2007年作『FEEL OR BEEF』(Pヴァイン)、STICKYの2009年作『WHERE'S MY MONEY』(SCARS)、DJ OLDFASHIONの2010年作『THE OLD STRAIGHT TRACKS』(Revolution)、キリコの2010年作『DIS IS IT』(術ノ穴)、D-EARTHの2010年作『SOUL REBEL NO.1』(赤落PRODUCTION)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年04月20日 18:00

ソース: bounce 331号 (2011年4月25日発行)

文/出嶌孝次

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