インタビュー

南波志帆 『こどなの階段』

 

 

 

デビュー以来、錚々たるクリエイター陣の温かいサポートを受けながら
ステップアップしてきた南波志帆の新曲「こどなの階段」は、山口一郎(サカナクション)と
小出祐介(Base Ball Bear)の初タッグによって生まれたエレクトリカルなポップ・チューン。
6/14に18歳のバースデーを迎える彼女にとって〈今しか唄えないもの〉その新しい形がまたひとつ。

 

 

「共感というよりも<共鳴>する感じ……なんでこんなに私のことがわかるんだろう?って、心の中を覗かれたような気持ちなんです」


── まずは、そもそもの成り行きから伺っていきましょうか。

 

「09年の11月に新木場のSTUDIO COASTで
女性ベーシストがいるバンドばかり
集めたイヴェントがあって、
そこにサカナクションさんとBase Ball Bearさんが出演されてました。
終演後のご挨拶で一郎さんとお話をしていたら、小出さんが近づいて来て
「もしかして南波志帆ちゃん?」って話しかけられたんです。
それで、3人でお話しているうちに、僕と山口くんで何かできないかなあってことを
言ってくださったので、私も「是非ご一緒したいです!」って……その時の話が
実現したんです」

 

── 小出さんはガール・ポップに対して結構なこだわりを持ってる人だと思うんで、
山口さんとの共作っていう話になった時に率先して作詞のほうを選んだんじゃないかと推測してるんですが。

「あっ、それは言ってました。その場で<オレ、作詞やるから!>って(笑)」

── 17歳の女の子、というか南波志帆にこういう歌を歌ってほしいっていう
世界観をすでにイメージしていたのかも知れないですね。 

「ですか……ね(笑)。それにしても、私の今の気持ちとか考えていることに
すごくぴったり合った詞でびっくりしました。共感というよりも<共鳴>する感じ……
なんでこんなに私のことがわかるんだろうって、心の中を覗かれたような気持ちなんです。
同じ世代の人が書いてるんじゃないかって思えるんです。
それはBase Ball Bearさんの音源を聴いていてもすごく感じることなんです。すごく熱いんですけど、
どことなくさわやかであったりとか、そういう世界観が“こどなの階段”にもあるなって。
なんだかこの曲に出会って、今この一瞬一瞬を大切にして生きたいっていう思いがより強くなったんですよね」

 

 

 

 

── とくにグッときたフレーズはどこ ?

「やはり「もう二度と戻らない風景感じて」ってところは一瞬一瞬を大切にしてっていう気持ちにも
繋がるので、そこにはグッとくるんですけど、「檸檬が弾けた」っていうフレーズBase Ball Bearの
歌詞にもあるんですよね、「17才 It's a seventeen 檸檬が弾けるような日々」って。
で、「檸檬が弾けた」っていったいどういうことなんだろう? って自分なりにずっと
考えていたんですけど、檸檬って青春や初恋の象徴みたいなイメージがあって……
ファースト・キスはレモンの味とかってよく言うじゃないですか。なんかそういう甘酸っぱい
感覚の象徴なのかなって。だから、理想と現実のギャップを感じた時に檸檬が弾ける、
それが大人になるってことなのかなって、私はそう解釈したんですね。
そのあと「ここからが大人だと気付かずにいさせてよ」っていうフレーズに繋がっていくんですけど、
そういう気持ちって自分にもあって、背伸びをしたいとか大人になりたいって思ってても、
実はまだ子供でいたいっていう自分がいたりするんです」

 

── 歌詞もさることながら、シンセ・ビートをここまで利かせたサウンドは今までの南波志帆には
なかったテイストだし、メロディは単純な構成でありながらすごくエモーショナルですよね。

「そうですね。エモーショナルな感じの曲なので、言葉を置いていくように
歌うことを意識しました。南波志帆の楽曲のほとんどはドラムを生で録っていて、
“こどなの階段”のようなエレクトロな感じの曲は、たぶん打ち込みでも
成立すると思うんですけど、プロデューサーの矢野(博康)さんが生にすごくこだわって。
最初はなんでだろう? って思ってたんですけど、毎回完成した曲を聴いた時に、
打ち込みでは出せないもの、この曲で言うと、Bメロからサビにかけて昂揚していく感じとか、
駆け上がっていく疾走感みたいなものは生のドラムだからこそ出せるものなのかなあって思って」

 

── “こどなの階段" は、いろんな意味で<目から鱗>な楽曲という。

「ですね。わりと今までは、いろんなクリエイターの方々が想像する南波志帆というか、
理想の南波志帆を描いていただいて、それを演じながら歌ってみること、
演じるように歌うだけじゃなく今の自分との共通点を探してそのエッセンスを入れることで、
自分のなかにいろいろな南波志帆を取り込んでいたような感じだったんですけど、
“こどなの階段”は、等身大の自分を歌うことによって、この楽曲の世界観に臨場感が増すというか、
そういう歌を歌う時期が来たのかなって感じたので、すごく新鮮な感じがします。

 

 

 

  

 

 

■NEW SINGLE 『こどなの階段』……6/15 on sale!

SONG LIST

01.こどなの階段
02.シャイニングスター (リマスター)(※アルバム『ごめんね、私。』収録)
03.それでも言えないYOU&I(リマスター)(※インディーズ2ndミニ・アルバム『君に届くかな、私。』収録)
04.セプテンバー(リマスター)(※インディーズ2ndミニ・アルバム『君に届くかな、私。』収録)
05.こどなの階段 instrumental 

 

 

■PROFILE…南波志帆(なんばしほ)

93/6/14生まれ。08年『はじめまして、私。』でLD&Kよりデビュー。
2010年にメジャー・アルバム『ごめんね、私。』をリリース。
12月に1stシングル「オーロラに隠れて」(作詞:YUKI、作曲:堀込泰行)をリリースした。
 

 

   
記事内容:TOWER 2011/6/5号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年06月05日 12:00

ソース: 2011/6/5

久保田泰平