インタビュー

LONG REVIEW――Tetsushi Hiroyama (from RYUKYUDISKO) 『Souvenir from RAKUEN mixed by Tetsushi Hiroyama』

 

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沖縄風味のテクノ・トラックを量産し続けてきた2人組、RYUKYUDISKO。そのメンバーであるTetsushi Hiroyamaは地元・沖縄で〈RAKUEN〉をタイトルに冠したパーティーを主催しているが、そのパーティーのアイコンとしてこのたびRAKUEN RECORDSが始動。まずは彼の初ミックスCD『Souvenir from RAKUEN mixed by Tetsushi Hiroyama』がリリースされることになった。

ここに収められているのは、Tetsushi Hiroyamaのソロ・プロジェクト=ORIONBEATSをはじめ、RABiN×LOVIN、TROPICAL SOUND CLASH、lichard.など沖縄で活動する新進気鋭のトラックメイカーたち。県外ではほとんど知られていない者も多いが、いずれも沖縄発の新たなムーヴメントの担い手ばかりで、沖縄ローカル・シーンのショウケース的内容となっている。興味深いのは、どの楽曲も沖縄民謡をモチーフにしている点。RYUKYUDISKO的なド派手テクノがその多くを占めるものの、生バンドのヴァイブスを備えたSee Saa Sequencer 303やディープなアンビエントも披露するlichard.がいたりと、その曲調は幅広い。

彼らが作り出すウネリは〈オキナワン・ポップスのテン年代版〉と捉えることもできるだろうし、〈ブエノスアイレスのデジタル・クンビアやNY/ヨーロッパのトロピカル・ベースの沖縄版〉とも捉えられるだろう。沖縄民謡のクラブ・アプローチというスタイルはこれまでにも琉球アンダーグラウンドらが試みてきたものではあるものの、それをひとつのムーヴメントとして県外・国外まで提示しようという試みは新しい。その記念すべき第一歩である〈Souvenir from RAKUEN〉。本作の意義は後々強まっていくかもしれない。

 

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掲載: 2011年06月22日 18:00

更新: 2011年06月24日 20:29

ソース: bounce 333号 (2011年6月25日発行)

文/大石 始

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