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インタビュー

かりゆし58 『かりゆし58ベスト』

 

 

 

デビュー5周年の節目を迎えた「かりゆし58」から、初めてのベスト・アルバム『かりゆし58ベスト』が届けられた。
母親への感謝の気持ちをまっすぐに歌った“アンマー”、命の尊さを叙情豊かに描き出した“さよなら”。
時代に流されない強さを持った彼らの音楽をぜひ、じっくりと噛み締めるように聴いてみてほしい。

 

 

「音楽だったら、どんなに苦しんでもがんばっていけると思った」 (前川真悟)

 

沖縄出身の4人組バンド、かりゆし58。
彼らが紡ぎ出す音楽は、メンバーの人生、生活、生き方と密接につながっている。
バンド結成の理由も、「音楽だったら、たとえ苦しんだとしても、
何とかがんばっていけると思ったから」(前川真悟/Vo.&Ba.)
だったという。

 

前川「岐阜あたりでトラックに乗ってたんですけど、それがめちゃくちゃキツくて
「この仕事を一生続けるって、どうなんだ?」って思ってしまって。
同じ苦しい思いをするんだったら、音楽のほうが絶対にいいと思って、
行裕(新屋行裕/Gt.)と洋貴(中村洋貴/Dr.)を誘ったんです」

 

新屋「いきなり近所の公園に呼び出されて、「はい、今日からバンドをやるよ~。
おまえがギターで、おまえがドラムね」って(笑) 僕らもほかにやることなかったし、
「やってみるか!」みたいな感じでしたね」

 

中村「うん、その時は本気でやるとかじゃなかったですね(笑)」

 

失業保険で機材を購入、さらにデモ音源2,000枚を制作し、レコード会社や音楽プロダクションに送りまくったという彼ら。
まさに人生をかけた行動はすぐに結果へと結びつき、バンド結成から1年足らずで1stミニ・アルバム『恋人よ』(06年)の
リリースへと至る。

 

前川「でも、『恋人よ』がぜんぜん売れなかったんですよ(笑)。
最初のツアーもぜんぶ車中泊だし、コンビニの前でカップラーメン食べるような生活で。
しかも会社からは「次で最後かもね」って言われるし……」

 

過酷な状況のなかで彼らは、起死回生の楽曲を作り上げる。
かりゆし58の代表曲であり、いまもロングセールスを続けている“アンマー”だ。

 

前川「情けない話ですけど、洋貴の母ちゃんに小遣いをもらったことがあって。
で、「どうせ最後になるんだったら、母ちゃんに感謝を伝える曲にしよう」って作ったのが
“アンマー”だったんです」

 

新屋「沖縄のFM局でかけてもらったら、びっくりするくらい反応があって。
沖縄のタワーレコードで11週連続で1位になったり、
インストア・ライヴに2,000人くらい集まってくれたり。転機でしたね、ほんとに」

 

 

 

 

 1stアルバム『そろそろ、かりゆし』(07年)はオリコン・インディーズチャートで2週連続1位。
08年にはサポート・ギタリストだった宮平直樹が正式加入し、初の全国ツアーも大成功。
順調にキャリアを重ねているように見えたが、ここで彼らは、またもや苦難の時期に突入してしまう。 

 

前川「少しは名前を知ってもらえるようになったけど、実力が伴ってないことは自分たちもわかってて。
「ウクイウタ」(3rdシングル/08年)のレコーディングとか、ひどかったんですよ。
何時間やっても、思うようなテイクが録れなくて。俺もメンバーに対してきついことを言ってたし、
雰囲気も最悪で。洋貴なんか「そんなに文句言うなら、自分でドラム叩け」って言いましたからね(笑)」

 

中村「だって、出来ないものは出来ないですから(笑)」

 

宮平「(笑)。悪循環っていうか、煮詰まってましたね、完全に」 

 

しかし彼らは、またもや自ら作り出した楽曲によって、状況を変えていく。
09年2月にリリースされた5thシングル「さよなら」。
ドラマ「銭ゲバ」の主題歌となったこの曲は、かりゆし58の存在をさらに大きく広げることになる。

 

前川「それまでは「自分たちの曲にはハッキリしたメッセージがあります」って
平気で言ってたんですけど、世の中には答えが出せないこともたくさんあるじゃないですか。
聴く人によって受け取り方が違う曲があってもいいな、と思って書いたのが“さよなら”だったんですよ。
プロデューサーとして参加してくれた久保田光太郎さんの力も大きいですね。
「覚悟を決めて弾いたほうが、絶対カッコいいよ」とか、音楽を生業にする人間としての話もたくさんしてもらって」

 

新屋「久保田さんはギタリストしても凄い人ですからね。
いろいろ教わっていくうちに、少しずつギターを弾くのが楽しくなってきて」 

 

 

 

 

 

 

『かりゆし58ベスト』に収録された新曲“このまちと”で彼らは、
「このまちと生きた日々の続きをここで生きよう/何かを残せるだろう 僕らは」と歌っている。
9月からは初のホール・ツアー「ハイサイロード2011~5周年! 唄って楽シーサー! 踊ってカチャーシーサー!」が
スタート。そう、自らの人生を賭けたかりゆし58の旅は、まだまだ続いていくのだ。

 

前川「今年の初めに、4人で話したんですよ。
「もうすぐ30歳になる。いままでとは違う覚悟が必要じゃないか?」って。
若いバンドもどんどん出てくるし、ひとりひとりがもっと責任感を持ってやっていかないと
ダメだと思うんですよね。そういう意味でも、ベスト・アルバムはいい区切りになりますね。
<もっといい曲を作らなくちゃいけない>という気持ちも強くなったし」

 

新屋「個人的には、今回のベスト・アルバムで何かがリセットされた気がしていて。
またゼロからのスタートだと思ってます」

 


 

 

■NEW ALBUM 『かりゆし58ベスト』……7/27 on sale!

■SONG LIST…

1.恋人よ(アコースティックver.)

02.アンマー

03.オワリはじまり

04.ナナ

05.手と手

06.ウージの唄

07.アナタの唄

08.電照菊

09.心に太陽

10.風のように

11.全開の唄

12.ウクイウタ

13.会いたくて

14.ただひとつだけ伝えたいこと

15.流星

16.さよなら

17.このまちと ※新曲

 

 

■LIVE…

「ハイサイロード2011~5周年! 唄って楽シーサー! 踊ってカチャーシーサー!~」

9/13(火) 渋谷C.C.Lemonホール
9/16(金) 福岡市民会館
9/18(日)  鹿児島市民文化ホール第2
9/19(月・祝)アルカスSASEBO
9/25(日)広島アステールプラザ大ホール
9/30(金)神戸国際会館こくさいホール
10/01(土) ユープラザうたづ
10/02(日) 高知文化プラザ・かるぽーと
10/07(金) りゅーとぴあ劇場
10/09(日) 浜松市勤労会館Uホール
10/10(月・祝)名古屋市公会堂
10/22(土) 幕別町百年記念ホール
10/23(日) 道新ホール
10/28(金) 仙台電力ホール
10/30(日) 秋田県児童会館
11/06(日) 金沢市文化ホール
11/13(日) 那覇市民会館

 

 

■PROFILE… かりゆし58

前川真悟(Vo.&Ba.)、新屋行裕(Gt.)、宮平直樹(Gt.)、中村洋貴(Dr.)。'
05年、沖縄で結成。ロック、レゲエ、沖縄音階などを<チャンプル>したサウンドと
生々しいメッセージが込められた歌により幅広いリスナーからの支持を得ている。
 

   
記事内容:TOWER 2011/7/20号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年07月20日 14:00

更新: 2011年07月20日 14:49

ソース: 2011/7/20

TEXT:森 朋之