薫がざっくり語る、音楽に目覚めた作品〜最近のお気に入り盤を紹介!
ここでは薫の音楽遍歴、また最近聴いている音楽についてざっくばらんに語ってもらった。まず、彼の音楽の目覚めは、意外にもロックやパンクではなかったようだ。
「中学のときに映画のサントラが好きで、レンタルで借りてよく聴いてました。映画が良くて、もう一度見たいと思っても、いまみたいにすぐDVDが出ない時代だったから。〈スタンド・バイ・ミー〉のサントラはいちばん聴きましたね」。
このように当初はサントラに慣れ親しんだという薫少年も、高校時代にロックに開眼。どんどん音楽にのめり込んでいく。
「高校に入ってからX JAPANを聴くようになって、ギターを始めたのはHIDEさんの影響が大きいです。海外だと、ダイムバック・ダレル(パンテラ)ですね。〈なんじゃこの音!〉っていう衝撃を受けました」。
なるほど。その流れで行くと、新作の曲作りにおいては「できるだけ自分のなかにあるものをあてにしないように、完成形をイメージしないで構築した」と語っているものの、身体に染みついた音というのは隠し切れないものなのか、“暁”ではそのパンテラの影響がほんのり見え隠れしているようにも……。それを指摘すると、「やっぱり出ちゃうんですかね。しょうがないです!」と苦笑い。
そしてアルバムを録り終えたいまは、やっとゆったりする時間も取れているよう。そこで最近よく聴いているアルバムも、ちょっと挙げてもらった。
「昔ほど新譜をチェックすることはなくなりましたけど、最近出たものだと、まずはジェイムズ・ブレイク。声が特徴的な人が好きというのもあるんですが、これは不思議な曲の作り方をしていて、新鮮な聴き心地なんだけど、懐かしい感じもするところがおもしろいです。それから、今回アルバムの初回限定盤でリミックスをやってるんですが、そのためにちょっと勉強しようと思っていろいろ漁っていたなかのひとつ、フライング・ロータス。最新作が気に入って、旧譜も全部買いました(笑)。あと、リンプ・ビズキットの新作は〈待ってました!〉という感じですね。音がビックリするぐらい良くて、特にドラムの音が良かったです。グレイヴヤードはジャケがカッコ良くて買ったんですが、予想してた音と全然違って(笑)、60年代のブルース・ロック的な、古めの音でビックリしました。あと、デフトーンズはカヴァー集がLPで出ていたので聴いています。キュアーとかジャパンをカヴァーしてて——何をやってもデフトーンズ節になりますね。最後は最近のものではないですけど、なぜかいまの自分にすごくハマっているモトリー・クルー。『Theatre Of Pain』はなかでも初めて買った作品なので、ここではこれを挙げます」。
▼文中に登場した作品。
左から、88年のサントラ『Stand By Me』(Atlantic)、Xの89年作『Blue Blood』(ソニー)、パンテラの90年作『Cowboys From Hell』(Atco)、ジェイムズ・ブレイクの2011年作『James Blake』(Atlas)、フライング・ロータスの2010年作『Cosmogramma』(Warp)、リンプ・ビズキットの2011年作『Gold Cobra』(FLIP/Geffen)、グレイヴヤードの2011年作『Hisingen Blues』(Nuclear Blast)、モトリー・クルーの85年作『Theatre Of Pain』(Elektra)
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2011年08月02日 20:27
更新: 2011年08月02日 20:27
ソース: bounce 334号 (2011年7月25日発行)
文/荒金良介