きゃりーぱみゅぱみゅ 『もしもし原宿』
もしもし原宿、きゃりー降臨。デビュー作のリリースを記念して、プロデューサー・中田ヤスタカ(capsule)のスペシャル・インタヴューとの二本立てでもしもしもし!
説明しよう!(というフレーズが富山敬の声で再生される世代の方のためにも)。きゃりーぱみゅぱみゅは、青文字系雑誌(主に原宿を発信源とするファッションやカルチャーを取り上げる雑誌)のモデルとして大活躍する18歳のスーパー・ガールである。普段よく聴いている音楽は「洋楽が多くって、グウェン・ステファニーとかケイティ・ペリー、クリスティーナ・アギレラ、レディ・ガガ……ファッションもパンチが効いてるアーティストさんが好きです」という彼女なのだが、この夏から音楽アーティストとしても本格的に活動を開始。プロデュースは中田ヤスタカ(capsule)。カラフル趣向で、オシャレなもの、楽しいもの、かわいいものには目がない、さらにはブログでも見せる〈変顔〉やぶっちゃけた発言からも窺い知れる気取りのなさなど諸々のキャラクターを鑑みて、きゃりーぱみゅぱみゅの世界観を鮮やかにスケッチできるのは、そう、彼しかいない。
「中田さんが主催する〈TAKENOKO!!!〉っていう未成年のためのクラブ・イヴェントで何度かごいっしょしてるうちに、いつのまにかプロデュースしてもらえることになってました(笑)。私、capsuleの大ファンなので、まさか中田さんにプロデュースしていただけるなんて信じられなかったし、ホントびっくりして」。
そして完成したのが、デビュー・ミニ・アルバム『もしもし原宿』。収められた楽曲は、サウンドの風合いこそアノ感じではあるのだが、言葉のノリやポップに描かれた心象風景などに、他の中田ワークスとは違う〈きゃりーらしさ〉がバッチリと刻み込まれている。
「あまりにもきゃりーらしいので、〈自分で詞を書いたんでしょ?〉って訊かれることもあるんですけど……男の人が書いてるなんて信じたくない歌詞ですよね(笑)。とにかく中田さんは、よく質問してくるんです。それも制作の現場じゃなく、皆さんとご飯を食べに行ってる時とかに。で、それを曲作りの参考にするとかってことをひと言も言わないんですね。“チェリーボンボン”という曲も、〈ストロベリーとチェリー、どっちが好き?〉って訊かれた2日後ぐらいに出来上がってきた曲で」。
内訳は、イントロダクションとなるチアフルなナンバー“きゃりーのテーマ”に始まり、幼い頃に感じたワクワク感をそれに喩えて思い出す“チェリーボンボン”、「私、一年生までは普通の高校生で、雑誌のストリート・スナップがきっかけで読者モデルを始めたんですけど、それがなかったらこうやって歌手デビューもしてなかったでしょうし、〈PON PON 進む 色々なこと〉っていう歌詞が私自身のことと重なってたりするんです」という“PON PON PON”、〈ピンク色〉〈部屋の隅に置けるくらいの〉〈やわらかい〉〈きらきら〉〈キモチがいい〉ヒミツのアイテムっていったい何?と聴き手の想像力を掻き立てる、きゃりーいわく「オトナっぽい感じ」のナンバー“ちょうどいいの”、「早く帰ってこないと、作ってあげたシチューといっしょに私のキモチも冷めちゃうよ」っていうオンナのコのいじらしいキモチを歌った“ピンポンがなんない”、そしてcapsuleのカヴァー“jelly”という全6曲。デビュー作にして明解かつワンダフルな世界観を作り上げたこの『もしもし原宿』を皮切りに、きゃりーぱみゅぱみゅはポップ・ミュージックの世界でもスーパー・ガールをめざしていく!
「やっぱりファッションとおしゃれも楽しんでるようなアーティストには憧れますし、YUKIさんのように、いくつになっても憧れられるような存在になれればいいなって思ってます!」。
▼関連作品を紹介
左から、“jelly”を収めたcapsuleの2006年作『FRUITS CLiPPER』(contemode/YAMAHA)、きゃりーの選曲によるコンピ『きゃりーぱみゅぱみゅのジブリセット』(ユニバーサル)、きゃりーぱみゅぱみゅ初のエッセイ集「Oh! My God!! 原宿ガール」(ポプラ社)
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