インタビュー

ONE OK ROCK 『残響リファレンス』

ONE OK ROCK 1

前作『Nicheシンドローム』以降の快進撃は、見事だった。
初の武道館ワンマンを大成功のうちに終わらせながら、達成感に浸ることなく
「ここがゴールではない」とも言い切った。その気概がダイレクトに表れているのが、
この5thアルバム『残響リファレンス』だ。彼らの格段に増したスケール感とさらなるポピュラリティーを確かめてほしい。


「お客さんに対して直球でズバズバいくだけじゃなくて、
                               座って聴いても伝わる曲を作っていきたいと思った」(Taka)



 前作『Nicheシンドローム』から、1年4ヶ月。
5thアルバム『残響リファレンス』には、格段に
増したスケール感とさらなるポピュラリティーが宿っている。
この1年4ヶ月のあいだにONE OK ROCKは、
本当に大きな飛躍を遂げた。
昨年11月には、初の武道館ワンマン・ライヴが実現。
決して平坦ではなかったバンドの道のりと、
しかし絶対に折れず、淀ませなかった音楽に対する強固な意思をありのまま体現し、<記念すべき通過点>として
あの大きなステージに刻みつけた。
本作『残響リファレンス』に宿るスケール感と
ポピュラリティーは、『Nicheシンドローム』以降の経験と
気づきが、ダイレクトに結実したものである。
  
Taka(Vo.)「『Nicheシンドローム』という
アルバムは、自分たちの抑えきれない衝動の爆発を忠実に再現したアルバムで。
だからこそ勢い重視だったんですよ。
でも、武道館でライヴをしてみて、お客さんに対して
直球でズバズバいくだけじゃなくて、たとえ座った状態で聴いても
伝わる曲も作っていきたいなと思ったんです」


Toru(Gt.)「この『残響リファレンス』は意識的に次のステージに向かうためのアルバムだと思っています。
『Nicheシンドローム』の延長線上で作った曲もあるんですけど、Takaが言ったように、
武道館の経験を通じて必要だと思ったスケール感の強化が、曲作りのテーマとしてありました」


 
リード・シングル“アンサイズニア”、“Re:make”、“NO SCARED”を含む全11曲。
静と動のコントラストをどこまでもエモーショナルに際立たせながら、
忘れがたい旋律に彩られたサビに向かっていくONE OK ROCKの王道をいく曲も、
説得力が増したグルーヴをもって獰猛なヘヴィネスを転がしていく曲も、
繊細な演奏で静謐なメロディーを紡ぐバラードも、そして、かつてないほど開放的なポップネスを放出している曲も
―狭小なライヴ・ハウスからアリーナ・クラスの会場、いやもっと言えばスタジアムでも高らかに響き渡ると
思わせてくれる―迫真的かつ強大なダイナミズムに満ちている。
レコーディングの過程で3/11の東日本大震災が発生し、さらにその後Takaの喉に異常が生じたことから、
制作を中断せざるを得ない時間もあった。
しかし、そういった時間を乗り越えたからこそ、見えたものもあった。


Taka「なかなか前に進めない時間はすごくしんどかったです。
でも、1曲ずつ納得がいくまでレコーディングと向き合うことで、そういう状況を乗り越えていって。
声を出せない時間を経験して、日本語をもっと書きたいなと思ったんです」


 
曲出しの段階でも新たな試みがあった。
“世間知らずの宇宙飛行士”では、はじめてRyota(Ba.)とTomoya(Dr.)のリズム隊が作曲を手がけた。
ブレイクビーツ風のタイトなドラミングを軸に、ポスト・ロック的なムードに包まれた全体像が実に新鮮だ。


Ryota「Tomoyaの家で4日くらいずっと引きこもって作りました。
俺は細かく刻まれるようなドラムをTomoyaに叩いてほしくて。
Tomoyaは派手なものだけではなく、そういうドラミングもカッコよくできるので。
そこから少しずつ曲を組み立てていきました」


Tomoya「エンジニアさんに教えてもらいながら、Pro Toolsをイチから勉強したんです。
試行錯誤の連続でしたけど、完成したときの喜びとレコーディングの楽しさは、
やっぱり特別なものがありましたね。この経験をこれからも活かしていきたいと思ってます」
 



ONE OK ROCK MAIN





 
そして、アルバムのラストを飾る“キミシダイ列車”だ。ONE OK ROCK史上最高にポップなこの曲について、
Takaは「このポップな感じは、いまだからこそ出さなきゃいけないと思いました」と語る。そして、こう言葉を続けた。


Taka「それは、このアルバム全体に関わる話にもつながっていくんですけど。僕のなかでいくつかポイントがあって。
ひとつはさっき言ったイスに座っていても伝わる曲を作りたいということ。
バンドとしての軸を揺るぎないものにした上で、これからもっといろんなサウンドに挑戦していきたいということ。
そして、さらに自分たちだけが表現できる歌をもっと追求していきたいということ。
そういう思いをすべて含めて、このアルバムは『Nicheシンドローム』を完結させるものにしたかったんです」


その思いはまた、『残響リファレンス』というアルバム・タイトルの話にも直結する。


Taka「『Nicheシンドローム』で響いたもの=残響をまた自分たちで受け取って、参照=リファレンスして、
バンドでさらに進化したものを築き上げるという意味を込めました。
あと、このアルバムはデカい音で聴いてほしいので、ぜひそこで生まれる残響を楽しんでもらえたら、と」



 ONE OK ROCKは、本作を携えて11月から年を跨ぐ全国ツアーに出る。
1/21&22には、ツアーの<スペシャル・ファイナル>と位置づけられた横浜アリーナ2デイズが待っている。
言わずもがな、このツアーで得たものが、次の制作にフィードバックされることは間違いない。




■New Album……『残響リファレンス』10/5 on sale!

■ SONG LIST…
01.Coda
02.LOST AND FOUND
03.アンサイズニア
04.NO SCARED ※PSP(R) 「ブラック★ロックシューターTHE GAME」主題歌
05.C.h.a.o.s.m.y.t.h.
06.Mr.現代Speaker
07.世間知らずの宇宙飛行士
08.Re:make
09.Pierce
10.Let's take it someday
11.キミシダイ列車

■ LIVE… 「ONE OK ROCK 2011-2012“残響リファレンス”TOUR」

11/04(金)、05(土)愛知:Zepp Nagoya
11/08(火)、09(水)東京:Zepp Tokyo
11/15(火)、16(水)大阪:Zepp Osaka
11/20(日)福岡:Zepp Fukuoka
11/21(月)広島:CLUB QUATTRO
11/27(日)札幌:Zepp Sapporo
12/04(日)沖縄:桜坂セントラル
12/09(金)高松:オリーブホール
12/11(日)石川:金沢EIGHT HALL
12/12(月)新潟:新潟LOTS
12/14(水)仙台:Zepp Sendai



「ONE OK ROCK 2011-2012“残響リファレンス”TOUR」
 ~YOKOHAMA ARENA SPECIAL FINAL~

2012/01/21(土)、22(日) 神奈川:横浜アリーナ



■ PROFILE…ONE OK ROCK(ワンオクロック)

05年に結成。エモ、ロック、メタルの要素を詰め込んだサウンドと
アグレッシヴなライヴ・パフォーマンスがロック・ファンを中心に支持されている。
来年1月には横浜アリーナ2days公演を控えるなど、更なる飛躍が期待される。

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記事内容:TOWER 2011/10/5号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年10月05日 12:00

ソース: 2011/10/5

TEXT:三宅正一(fixed)