INTERVIEW(2)――ヘヴィーで、音自体がロックしてるもの
ヘヴィーで、音自体がロックしてるもの
——その枷のようなものから解放されて制作したのが“VORTEX”ですか?
RUKI「そうですね」
——the GazettEは全員が曲を作られるかと思いますが、“VORTEX”の原曲はどなたが?
RUKI「原曲は俺です」
——“VORTEX”は重量級のリフとデジタル・ビートが激しく拮抗していて……そのデジタル・ビートも、例えば前作でのダビーな質感からより攻撃的でフィジカルな方向へシフトしていたりと、この曲の構成要素が今回のアルバム『TOXIC』全体に散りばめられている。なので、もしかしたら本作の発端となった楽曲なのかな、と思ったんですが……。
RUKI「そう……ですね。そうかもしれないですね。これがきっかけと言ってもいいかもしれないな」
——いまお伝えしたようなところは、意識的でした?
RUKI「意識的ですね、それは。自分が普段聴いてるのもそういうのだし、基本、ロックはそんなに聴かないんですよ」
——どこらへんを聴いてるんですか? 例えば最近では。
RUKI「エレクトロとかばかりなんで……なんだろう? クラークとか、ブロークン・ノートとか……」
——ブロークン・ノートって、あの、ダブステップとハードコアが混じったような?
RUKI「そうですね。あとポーティス・ヘッドとか、もともと、ああいうものが好きで」
——ああ、ブリストル界隈はお好きそうですよね。『DIM』からは特にそういうルーツが感じられます。
RUKI「あとはなんか、もうちょっとヘヴィーな、音がロックしてるようなもの。ジャンルじゃなくて」
——はい。いま挙がったアーティストはそれぞれに攻撃的で……とにもかくにもダークですよね(笑)。
RUKI「そうですね(笑)。そういうところは繋がってんのかなっていうのはありますよね」
——そして、5枚目のシングル“REMEMBER THE URGE”は今回のアルバムには未収録で。でも、この曲が本作に収録されたかどうかで、インストを除いたラストの曲“TOMORROW NEVER DIES”で放たれる言葉の響き方が違っていたと思うんです。
RUKI「うん。意味合いも変わってくると思うし。いつもそんなに考えて作ってないんですけど、“VORTEX”とか“REMEMBER THE URGE”で伝えたかったメッセージは、結果的にアルバムに向かっているなあっていうのは後になって思いました」
攻撃性が前面に
れいた
――その〈メッセージ〉についてはのちほど伺うとして、ここからは新作『TOXIC』のお話に移りたいのですが、本作は前作の『DIM』、シングルの“VORTEX”を通過してこそのサウンドと言いますか……『DIM』はとてもコンセプチュアルな作りで、沈み込むようにダークな世界観を突き詰めた作品だと思うんですね。それが今回はよりダンサブルでタイトで、あと曲数も14曲ありますけど、トータルで50分ぐらいじゃないですか。
RUKI「うん、うん」
——そういった尺の部分も含めて、前作からは大きく舵を切りつつ、ギュッとフィジカルなバンド感を凝縮したアルバムかと思ったんですが、今作の制作にあたって、メンバー同士で話し合いのようなものは?
RUKI「話し合いはしてなかったですね、まったく」
——いつもしないんですか?
RUKI「いつもしないよね?」
麗「しないですね」
RUKI「『DIM』もそうだったんですけど、たまたまあのときはもう、みんながダウナーなほうだったんで。だから、それに左右される感じですね(笑)」
麗「アルバムは常にそのときの心境とか、環境がリアルに再現されるんですよね。そのとき何聴いてるとか、そういうものが全部詰まってるから、確かに“VORTEX”っていうシングルありきの『TOXIC』っていうのはあると思う。そこにあるものが何かっていうと……」
RUKI「まあ、前回と違うのは攻撃性かな。前回はもっと退廃的なもので」
麗「攻め方が違いますね、そもそも」
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