インタビュー

INTERVIEW(2)――映画のような音世界



映画のような音世界



そのほか、ケンドーコバヤシと共演したミュージカルで歌ったバラード“It's Ten To Four”や、ヨーロッパ・ツアーでの思い出をもとに「パリのロマンティックな街並やベルギーの石畳の道を、彼のバイクの後ろに乗って走る情景を思い浮かべながら」作ったラヴソング“In The Mood of Love”、さらには「愛が表現されている歌のなかで、もっとも情熱的な愛を感じる」というシャンソンをベースにした“虹のワルツ~for GIRL~”など、まるで1曲ごとに衣装替えしてステージに立つような、ファンタスティックな〈凛花ワールド〉が次々と繰り広げられていく。それにしても、彼女がこういう世界に興味を持つきっかけは何だったんだろう。

「私が生まれた時代はすでにデジタル世代で、こういう音楽に出会うまでは、レコードの針の音なんて聴いたことがなかったんです。聴いていたのは、ビートルズや90年代に流行った音楽、例えばカーディガンズとかマライア・キャリー。B’zや今井美樹さんとかだったんですけど、初めてレコード・ショップでマリリン・モンローのアルバムを聴いたとき、レコードの針の音やオーケストラの音を聴いただけで、なんだか映画を観ているみたいな感じになって衝撃を受けたんです。〈音だけで、これだけ映画みたいな世界を表現できるのか!〉と驚いて、私もそういう世界観のパフォーマンスをしたいと思うようになりました。それで古いジャズの名盤を聴いたり、映画をたくさん観たりして、いろいろな作品に影響を受けたんです。なかでも、映画〈キャバレー〉のボブ・フォッシーの演出や、そこでライザ・ミネリが表現した、女優、歌手、女としての生き様のすべてに大きな影響を受けました」。

そのモンローやライザ・ミネリを生んだアメリカでは音楽イヴェント〈SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)〉に3年連続で出演したり、ヨーロッパ・ツアーをしたりと、夢見た世界が少しずつ実現している彼女にとって、いまや人生は大きな舞台。『GIRL』では、そんな彼女がノリに乗った歌とパフォーマンスで楽しませてくれる。最後に〈GIRL〉という言葉から連想するイメージを、思い付くままに挙げてもらったところ……。

「気まま、恋、おしゃれ、キレイになりたい、わがまま、作戦、化粧、感情、イライラ、喜び、哀しみ、リップスティック、パンク、旅、笑顔」。

そのすべてのエッセンスが、このアルバムに入っている。もちろん〈男子禁制!〉なんてことはないので、ボーイズもガールズもいっしょに素敵な夢が見られるはず。というわけで『GIRL』、そろそろ開幕です。



カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2011年12月14日 18:01

更新: 2011年12月14日 18:01

インタヴュー・文/村尾泰郎

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