2011年のアデル現象を考える(4)——多方向へ波及していく普遍的なパワー
ビヨンセが自身の『4』の制作時に強いインスピレーションとなったことを認めているのを筆頭に、『21』の波紋が多方面へに及ぼした効果はハンパじゃなく大きいはずだ。まずは流行りに敏感なラッパーたち。『19』所収の“Cold Shoulder”がファショーンのミックステープ『Higher Learning』にてジャックされたのに続き、『21』からは“Someone Like You”はタイガのミックステープ収録の“Reminded”でネタ使いされてもいた。当然、その“Someone Like You”と共に全米1位となった“Rolling In The Deep”も含めてストレートなカヴァーも数多く、後者がかの「グリー/glee」で歌われたのをはじめ、最近ではパンク・バンドのゴー・レディオも“Rolling In The Deep”をディープに取り上げている。普遍性の高さも相まって今後もそうした例はますます増えていきそうだ。
また、アデルといえば各シングルのリミックスが毎回おもしろく、ジェイミーXXやホスピタルのニュー・トーン(『15 Years Of Hospital Records』に収録!)ら興味深い面々がリミキサーに起用されていることも特筆しておきたい。
▼文中に登場したアーティストの作品
左から、ビヨンセの2011年作『4』(Columbia)、ゴー・レディオの2011年作『Lucky Street: Deluxe Edition』(Fearless)、2011年作『Glee: The Music Volume 6』(Columbia)、“Rolling In The Deep(Jamie XX Remix)”を収録したアニー・マック監修のコンピ『Annie Mac Presents 2011』(Island)
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2011年12月14日 18:00
更新: 2011年12月14日 18:00
ソース: bounce 339号(2011年12月25日発行号)
文/出嶌孝次