〈マイメロ〉サウンドのお手本になったアルバムを本人が解説!
ここでは、新作の制作時に曲構成の発想や楽器のアンサンブル、音の作り方などで参考になったというアーティストの作品を解説してもらおう。
「今回レコーディングは全部生のピアノを弾いたんですけど、オーラヴル・アルナルズは“Mount Tsukuba(20/Nov/2011)”の空気感がそれに通じるかと。ただ、アイスランド的な透き通った音ではなく、筑波山の陽だまりみたいな感じを出したかったので、比較しながら聴いた感じです。ペンギン・カフェ・オーケストラは使ってる楽器が豊富だし、たまにシンセとかも入ってくるから、“Through Dark Night(Bad Dream)”で生楽器と電子音のバランスを考えるのに聴いてましたね。オブリガードと主メロの関係がおもしろい曲が多くて、発想の参考にもなってます。それから全編に渡る歌の処理は、ボン・イヴェールの影響があると思います。何より歌声が素晴らしいアーティストなので。あとは、後ろに見え隠れするマイス・パレード感というか(笑)、ちょっと前のポスト・ロックを現代風に上手くやってるなって。ユース・ラグーンは音像が好きで、でも芸術志向すぎず、メロディーが近いというか、牧歌的なところが好きですね。田舎生まれであってほしい(笑)。
僕はボーダー・コミュニティーのアーティストが好きなんですけど、なかでもネイサン・フェイクはボーズ・オブ・カナダよりもうちょっとシンセの音がノイジーで、いまっぽい処理がされてるので、そのあたりは参考になりました。“Lunar Eclipse(10/Dec/2011)”のパッドの感じとかです。あと、ウルリッヒ・シュナウスは壮大感とか、包み込むような音像ですね。僕のなかでは泣きの要素が強いイメージの人なので、泣きの轟音も研究しました。琴線揺らす系の音が好きなんですよ……そこはやはり日本人だなと(笑)」。
▼関連盤を紹介。
左上から、オーラヴル・アルナルズの2012年作『...And They Have Escaped The Weight Of Darkness』(Erased Tapes)、ペンギン・カフェ・オーケストラのベスト盤『Best』(333/commmons)、ボン・イヴェールの2011年作『Bon Iver』(Jagujaguwar)、ユース・ラグーンの2011年作『The Year Of Hibernation』(Fat Possum)、ネイサン・フェイクの2006年作『Drowning In A Sea Of Love』(Border Community)、ウルリッヒ・シュナウスの2003年作『A Strangely Isolated Place』(City Center Offices/Domino)
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掲載: 2012年05月16日 17:58
更新: 2012年05月16日 17:58
ソース: bounce 344号(2012年5月25日発行)
インタヴュー・文/金子厚武