インタビュー

GOTYE 『Making Mirrors』

掲載: 2012年06月06日 17:58

更新: 2012年06月06日 17:58



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〈オーストラリア発のベック〉と呼ばれ、注目されて2008年の〈フジロック〉に出演。そのパフォーマンスでは、たった一人でせわしなく機材をいじり、ステージを動いていたゴティエ。あれから4年……最近の彼の活躍ぶりには、特にかつて彼のステージを観たことのある人にとっては、目を見張るものがあると思う。

ニュージーランドのシンガー、キンブラをフィーチャーし、男女の別れにおける思惑の違いを赤裸々に描いたバトル・デュエット・ソング“Somebody That I Used To Know”が、地元のオーストラリアで1位を獲得したのを皮切りに、イギリス、フランスなどでもトップに。そしてアメリカにおいても、人気ミュージカル・ドラマ「Glee/グリー」でカヴァーされたことをきっかけに大ブレイク。原稿執筆時の最新チャート(5月19日付)まで4週連続で全米No.1を獲得し、昨年のアデルの怪物的ヒットを連想させるような盛り上がりを見せているのだ。

「この曲が完成した時、純粋にいい曲だなって思ったけど、まさかこんなヒットになるとは想像もしていなかったよ」。

同曲はギターのサンプリングをしているうちに完成していったという。

「いままで自分が抱いていた他者との記憶が正確かどうか思い出していたところから、歌詞が生まれてきた気がする。相手に対するちょっとした気持ちの変化が、どんなふうに付き合い方を変えたり、思いを変えたりしていたか……とかね。だから、内容はフィクションではあるんだけど、ちょっと曖昧な部分もあるんだよね(笑)」。

そんな楽曲が収録されたアルバム『Making Mirrors』も、自分のことを思い出す作業のなかから生まれた曲が多いそうだ。

「アルバム制作は、自分がよくわからない何かへの答えを探しはじめ、でも答えが見つからずに、不満を抱えているっていうところから、ターニングポイントに差し掛かり、ようやく何かしらの希望や答えを見つける……っていうプロセスだったと思う」。

「アルバム制作は、自分がよくわからない何かへの答えを探しはじめ、でも答えが見つからずに、不満を抱えているっていうところから、ターニングポイントに差し掛かり、ようやく何かしらの希望や答えを見つける……っていうプロセスだったと思う」。

「前作までのアルバムではレコードからのサンプリングを多用していたんだけど、今回は自分で楽器を弾いたものをサンプリングして完成させたものがいっぱいあるんだ。全体的にアナログの感覚が残ったサウンドというか。ちょっと泥がついているような、あんまりキレイすぎず、完璧にバランスが取られすぎていない音を作ろうと心掛けていたんだ」。

そんなアルバムを聴いていると、ゴティエというアーティスト(人間)はいい意味でも悪い意味でも、物事に執着するキャラクターであることが伝わるはず。

「まさに(笑)。特に音楽にはハマり込んでしまうよね。でも完璧主義者ではないよ。納得のいく音を追求していたら、アルバムなんて一生かかっても完成しないね。ある程度、自分のヴィジョンを表現できたら、後はなりゆきに任せることも必要だと思うよ」。

この8月には〈SUMMER SONIC〉への出演も決定。そこでも彼の音への偏愛ぶりが窺えるはず。

「日本へ行くのはいつも楽しい。大学では日本語を専攻していたから、ちょっとは言葉を覚えているしね(笑)。また、実は5、6年前くらいにバンドで来日した時に、THE BAWDIESと仲良くなったんだ。彼らもビッグになったと聞いているし、再会できるといいなあ」。



PROFILE/ゴティエ


80年生まれ、ベルギーはブルッヘ出身でオーストラリア育ちのシンガー・ソングライター。少年時代からピアノとドラムスの演奏に習熟する。メルボルンを拠点に2001年より本格的な音源制作を始め、2003年に初のアルバム『Boardface』を自主リリース。2006年の2作目『Like Drawing Blood』がオーストラリアでプラチナ・ディスクを獲得するヒットとなり、ARIAアウォードで最優秀男性アーティスト部門を受賞する。2011年秋にサード・アルバム『Making Mirrors』(Eleven/HOSTESS)を全豪リリース。収録曲の“Somebody That I Used To Know”がUK/USを含む7か国でチャート1位を記録し、〈サマソニ〉出演のニュースも話題となるなか、6月6日に日本盤がリリースされる予定。

カテゴリ : インタビューファイル

ソース: bounce 344号(2012年5月25日発行)

インタヴュー・文/松永尚久