インタビュー

鈴木良雄

「音楽で大切なのは、やはりメロディ」

70年代~80年代にNYを活動の拠点に置き、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのレギュラー・メンバーとして活躍してきた、チンさんこと鈴木良雄。その後MATSURI、EAST BOUNCEといった自己のグループで独自の音楽を追求し、2002年にBASS TALKを結成。今年で11年目を迎え、ONEレーベルからの最新作が『Dancing Luna』。

「フル・アルバムとしてはセカンドにあたるんですが、一番最初、今のメンバーに渡辺貞夫さんや増尾好秋くんを入れたものを作っていたので実質上は3枚目なんですよ。前のバンドEAST BOUNCEの時と同様、レパートリーはすべて僕のオリジナルを演奏することが前提。それで僕の音楽世界を表現するという形でやってきています。元々実力派のメンバーばかりですが11年目なのでまたさらに磨きがかかっていまして」

EAST BOUNCE時代からチンさんの音楽に接している人なら、あのあたたかくて優しいハートフルなメロディ感覚を思わず思い出すことだろう。今回もそんな楽曲が揃う。

「EAST BOUNCEもBASS TALKも編成は違いますが、サウンド的に似ているところはありますよ。どちらもメンバーであるピアノの野力奏一くんがアレンジをやっていて二人でサウンドを作ってきましたからね。僕としては音楽で大切なのは、やはりメロディだと思うんですね。音楽のメッセージとしてそれが一番強いものなんだと思います。意識して優しいメロディを作っているわけではないのですが、作曲に関しては僕は長野の山にこもって自然の中で行うので、どこかメロディに癒しの感覚が出ているのかもしれません」

BASS TALKとしては5年ぶりの本作だが、チンさんにゆかりのある二人の亡きミュージシャン、ラルフ・マクドナルドとセシル・モンローに捧げられた曲もある。

「ラルフもセシルも突然亡くなってしまってね。ラルフのパーカッションは音楽のスパイスそのもので入ると全然違うんだよね。セシルは僕が日本に帰ってきてからいっしょにやり始めてもう20数年の付き合いです。今回《セシル》という曲を捧げることにしました」

この新作を引っさげて全国55ヶ所を巡るBASS TALKツアーがスタートする。チンさんのヒューマンな感覚に満ちたメロディを生で聴くもの悪くない。

写真左から、井上信平(フルート)、鈴木良雄(ベース)、岡部洋一(パーカッション)、野力奏一(ピアノ)

LIVE INFORMATION

鈴木良雄Bass Talk「ダンシング・ルナ」リリース記念コンサート』
http://homepage2.nifty.com/fmw/chin/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年06月29日 18:37

ソース: intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)

取材・文 馬場雅之(タワーレコード本社)