須川展也
身近なメロディをサックスで輝かせる編曲の魔法
今秋、装いも新たにスタートする東京文化会館小ホールの自主企画〈プラチナ・ソワレ〉。現代の名手が極上の音楽を奏でる本シリーズの第一夜に登場するのは、日本クラシック・サクソフォン界のパイオニア的存在として世界に誇る須川展也だ。公演タイトルは〈サキソ・マジック〉。彼でしか成し得ない神業サックスを、親密な空間で堪能できる贅沢なひとときに期待が高まる。
「4本のサックス(ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)をひとりで吹き分けるムソルグスキー(編曲:長生淳)の《展覧会の絵》の演奏もかなりマジカルですが、同じく長生さん作曲の、古楽の《ラ・フォリア》の主題をテーマにしたソプラノのための《ラフォリスム》や、日本のメロディをアルトで次々と紡ぐ《日本民謡による狂詩曲》(作曲:石川亮太)といった作品も魔法のようで。熱心なサックス・ファンはもちろん、初めての方でも楽しんでいただける夜になると思います」
同時期には同じタイトルのニュー・アルバムもリリース。こちらには《ラフォリスム》や《日本民謡による狂詩曲》に加えて、石川亮太の編曲による映画『メリー・ポピンズ』からの名曲メドレー、狹間美帆の編曲による《ガーシュウィン・メロディーズ》やジャズ・スタンダードのメドレーなど、委嘱作品がずらり。
「東日本大震災の復興支援コンサートで、津軽じょんがら節に始まりソーラン節&阿波踊りで終わる《日本民謡による狂詩曲》や、チムチムチェリー~スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスのメドレーを演奏したら、会場の人が笑顔になってくれて…どれも身近なメロディなのに、魔法のような編曲の力で、みなさんの心に元気を届けられた気がしました。それで、そんな曲を集めたアルバムが作りたいなと思ったのがそもそものきっかけ。ガーシュウィンやスタンダードナンバーの編曲でも、聴き易さの中にディープでマニアックな部分が秘められていて、我ながら格好いいと思います。リサイタルではアンコールでたっぷりアルバムの曲もとりあげる予定ですのでお楽しみに!」
2014年の演奏活動30周年を目前に、クラシック・サクソフォンの可能性追求にも余念がない。
「今後もレパートリーの開拓を続けていきたい。日本人の若手作曲家への委嘱も楽しみのひとつです」
LIVE INFORMATION
『プラチナ・ソワレ 第1夜 サキソ・マジック』
9/14(金)19:00開演
須川展也(sax)小柳美奈子(P)
会場:東京文化会館 小ホール
http://www.t-bunka.jp/