インタビュー

プロデューサーとして飛躍したこの数年をお皿い!



別掲のリミックス集にもまとめられたクライアント・リストからもわかるように、アレックス・リダのリミキサーとしての実績は当代のトップクラスと言ってもいいだろう。その一方で『Power』のリリース以降はプロデュース・ワークも急増している。

そのきっかけは、本人もインタヴューで話すチリー・ゴンザレスの『Ivory Tower』だった。もともとゴンザレス自身やファイストのリミックスによって交流はあったようだが、シンプルに歌を基盤とした作品で共同作業するという経験はアレックスにとって大きな糧となったに違いない。逆に欧風のダンス・トラックを望まれた格好となるのが、翌年に手掛けたケリスの“22nd Century”だ。ボーイズ・ノイズ感がバリバリという感じではないが、彼の名がデヴィッド・ゲッタやベナッシ・ブラザーズと並んでクレジットされたという事実が重要だ(?)

そして今年に入ってからの重要作となると、半数ほどの共同プロデュースを担当したシザー・シスターズの『Magic Hour』が挙げられる。カルヴィン・ハリスとの共作もあったりするのが興味深いが、アジーリア・バンクスのラップする“Shady Love”などを聴くにつけ、ラッパーやシンガーと共作した曲ももっと聴いてみたいと思ってしまう。例えばサンティゴールドの“Look At These Hoes”を共同プロデュースしているディプロのように、Bボーイの感性をエレクトロニック・ミュージックの土壌に持ち込んできた彼なら、その手腕を改めてコマーシャルな方面でも活かせるはずだし、今後の活躍にも期待したい。

なお、リミックス集に未収の名リミックスとしてデヴィッド・リンチ“Good Day Today”を最後に推薦しておこう。



▼関連盤を紹介。

左から、チリー・ゴンザレスの2010年作『Ivory Tower』(Wagram)、ケリスの2011年作『Flesh Tone』(Will.I.Am/Interscope)、シザー・シスターズの2012年作『Magic Hour』(Polydor)、サンティゴールドの2012年作『Master Of My Make-Believe』(Downtown/Atlantic UK)、デヴィッド・リンチの2011年作『Good Day Today/I Know』(Sunday Best)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年10月03日 17:59

更新: 2012年10月03日 17:59

ソース: bounce 348号(2012年9月25日発行)

文/狛犬