インタビュー

「The X Factor」が輩出した人気者たち――(1)



かの「アメリカン・アイドル」で名物審査員となったサイモン・コーウェルが、2004年に英ITV局で立ち上げたオーディション番組が「The X Factor」です(YouTubeの公式チャンネルでも観られます)。9年目に突入しているこの番組の特徴は、審査を経たファイナリストが各審査員を後見人として研鑽を積み、出場者のみならず審査員同士の競争という要素も持たせているところ。また、ファイナリストが〈Boys〉〈Girls〉〈Over 28s〉〈Groups〉に分けられるので、グループを生む土壌も用意されているわけです。そんな番組からはシリーズ1で優勝したスティーヴ・ブルックスタインの『Heart And Soul』(2005年)が全英1位を獲得して以来、多くのスターが生まれました。その一部をここでは紹介しておきましょう。



SHAYNE WARD 『Obsession』 Syco/Sony UK(2010)

シリーズ2の優勝者で、アルバム2枚の大成功で番組の人気を軌道に乗せた功労者でもある。が、ニッケルバックやトニー・リッチのカヴァーが良好なこの3作目を最後に、舞台裏のゴタゴタからサイコを離脱……。

 

LEONA LEWIS 『Glassheart』 Syco/RCA(2012)

1D以前に世界的なブレイクを記録したシリーズ3の覇者。この3枚目のニュー・アルバムではフレイザーT・スミスを総監督に据えて、エミリー・サンデーにも近い英国的なアーバン・ポップを志向している。

 

RHYDIAN 『Rhydian』 Syco/Sony UK(2008)

優勝者のレオン・ジャクソン以上の人気を得る、シリーズ4準優勝のウェールズっ子。イル・ディーヴォ風の声楽ポップを披露した本作以降は演劇方面に進出し、「ロッキー・ホラー・ショー」40周年公演などで活躍中!

 

ALEXANDRA BURKE 『Heartbreak On Hold』 Syco/RCA(2012)

シリーズ5を制したロンドンの歌姫。ヒット・シングルを連発した初作『Overcome』とはまた異なるダンス路線を強調したこの2作目はセールス的に後退したが……妖しいダンクラ使いのハウス曲がいい

 

JLS 『Evolution』 Epic(2012)

シリーズ5で準優勝した彼らは早くも4作目を投下。バングラデッシュ製のヤバすぎる先行ヒット“Hottest Girl In The World”を筆頭にUSの大物を動員し、EDM系に背を向けてニュー・ジャックなどのR&Bに完全シフト! 詳細は次号!

 

DIANA VICKERS 『Songs From The Tainted Cherry Tree』 RCA(2010)

シリーズ5ファイナリストの処女作で、独特のエロい風情も手伝って全英1位をマーク。3曲を共作したエリー・ゴールディングにも通じるオーガニックなエレポップがいい感じ。新作は来年?

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年12月12日 17:59

更新: 2012年12月12日 17:59

ソース: bounce 350号(2012年11月25日発行)

文・ディスクガイド/出嶌孝次

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