インタビュー

自身のポップ哲学を更新し続けたバンド・ヒストリー

 

1. 『新世界ノート』 UKプロジェクト(2008)

重心低くうねるベースラインと力強いメロディーが7分近くをきっちりとリードするミディアムと、メジャー移籍後にリカットされた“センチメンタルピリオド”で冒頭から聴き手をグッと引き寄せる初のミニ・アルバム。ささくれた斎藤の歌唱と鋭いバンド・アンサンブル、さりげなく発明的な言語感覚で、彼らはシーンに〈ハロー〉と告げる。

 

2. 『流星前夜』 UKプロジェクト(2008)

歌詞表記なしのポエトリー“流星前夜”に始まり、未来へと目を向けるシンプルなギター・ロック・ナンバー“流星行路”でフィニッシュ。全編の流れに意識的な2枚目のミニ・アルバムは、前作と比べてより外に開かれたアレンジがあちこちに。カラフルなハーモニーやハンドクラップに合わせて言葉が躍る“MR.アンディ”あたりが好例かと。

 

3. 『UNISON SQUARE GARDEN』 トイズファクトリー(2009)

瞬発力が高い2枚のシングルと、よりバウンシーなグルーヴを手にした“箱庭ロック・ショー”、エレポップ色を交えた“MR. アンディ”といった既発曲のリメイク版も含むファースト・フル・アルバム。音の引き算で構築の妙を露わにした楽曲やグランジ調など振り幅を広げるなか、彼らが探求し続けている〈独自のポップス〉の糸口となりそうな、センシティヴなミディアム“クローバー”が白眉。

 

4. 『JET CO.』 トイズファクトリー(2010)

トリオによるアンサンブルのひとつの極みとなった2作目。サウンドも言葉も一筋縄ではいかない攻撃性に満ちているが、総じてポップ。タイトル通りにスリリングでエキサイティングなエンターテイメント作品に仕上げている。田淵の言葉が創出するある種のファンタジー世界を通じ、世間に向けて〈ポジティヴに物申す〉という姿勢もユニゾンらしい。

 

5. 『Populus Populus』 トイズファクトリー(2011)

ライヴに接近した音像と、音を重ねることで音源としての質の向上に挑戦した3作目。清澄な鍵盤と(実は彼らの強力な美点である)繊細なコーラスをフィーチャーした“僕らのその先”やジャジーな“CAPACITY超える”などの新味も耳を惹く。本作の方法論は最新作でさらに更新されており、音の面ならストリングス風のシンセで疾走感を演出した“to the CIDER ROAD”からいきなり爆発。歌詞の面なら、『Populus Populus』のラスト曲に登場する〈名前を呼ぶ〉というキーワード(と仕込まれたメッセージ性)は、形を変えて“お人好しカメレオン”へと継承……?

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年02月04日 13:50

更新: 2013年02月04日 17:30

ソース: bounce 351号(2012年12月25日発行)

ディスクガイド/土田真弓

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