あの人が書き下ろしたアニメ関連作品たち
本文からおわかりの通り、バンドのソングライティングを手掛ける田淵智也は作家的な気質の持ち主。また、彼はアニメにも造詣が深いことで知られているが、いくつかの仕掛けを施すことで楽曲にストーリー性を持たせる彼の作風は、声優のオリジナル作やコミックのキャラクター・ソングなど外部作品にも活かされている。最近であれば、アニメ「となりの怪物くん」のオープニングを飾る戸松遥“Q&A リサイタル!”の作詞/作曲を担当。掛け合いコーラスやホーン・セクション、はたまた三三七拍子までを散りばめた華やかなスカ・ポップで、止まらない乙女の純情を弾けさせている。さらには、流麗なピアノとスピーディーなギター・ロックで加速する男子の恋心を演出した梶裕貴の“Hello!”や、パンチの効いた歌い手の声をドラマティックに後押しするLiSAの諸曲なども。そして、より広くアニメ関連作品を見渡せば、他にも自身名義作を発表しながら作家活動も行う面々の楽曲が多くあって……ここでは、そんな作品群の一部をまとめて紹介しよう。*土田
▼田淵智也が楽曲を提供した作品の一部を紹介。
左から、戸松遥の2012年のシングル“Q&A リサイタル!”(MusicRay'n)、梶裕貴の2012年のシングル“Hello!”(ランティス)、LiSAの2012年作『LOVER“S”MiLE』(アニプレックス)
堀江由衣 『秘密』 スターチャイルド(2012)
彼女のファンだった清竜人がみずからコンペに参加して勝ち取ったシングル“インモラリスト”と、リード曲“CHILDISH§ LOVE§WORLD”を提供。その深~い愛が届いたのか、清の最新作『MUSIC』では共演も実現。*北野
中村弘二 『EUREKA SEVEN AO ORIGINAL SOUNDTRACK 2』 アニプレックス(2012)
スーパーカー時代に「交響詩篇 エウレカセブン」の挿入歌を担当した縁で(?)、その続編アニメの劇判を手掛けたナカコー。沼澤尚や勝井祐二、LAMAのメンバーら自身周辺を演奏陣に迎え、その音楽的な引き出しの多さを存分に発揮した。 *北野
平野綾 『FRAGMENTS』 ユニバーサル(2012)
歌手活動を再開した彼女のレーベル移籍第1弾作品は、前山田健一やlivetuneのkz、ニルギリスらが参加した超カラフルでポップな内容に。クボタマサヒコとMoonbugのNovoiskiによるユニット・Miss Modularもここで本格始動。*北野
竹達彩奈 “♪の国のアリス2” ポニーキャニオン(2012)
元Cymbalsの沖井礼二の提供曲“Sinfonia! Sinfonia!!”で歌手デビューした声優のあやち。続く本シングルでは末光篤が清澄なピアノ・ロック曲を書き下ろしている。次の“時空ツアーズ”は何といしわたり淳治×筒美京平! *北野
豊崎愛生 『love your life, love my life』 Music Ray'n(2011)
スフィアのメンバーとしても活躍する声優の彼女は音楽好きとしても有名。この初アルバムではCharaやクラムボン、つじあやのら自身が共感を抱くアーティストのサポートを受け、その柔らかで愛らしい歌声を響かせている。*北野
繭(戸松遥)& 柚子(堀江由衣) “神サマといっしょ” ランティス(2011)
本作のカップリングにはmito(クラムボン)とagraphのユニット、2 ANIMEny DJ'sによる電気グルーヴ“虹”のカヴァーが!! 徐々に加速するコズミックなトラックとキャラ声の不思議な掛け合いに昇天! 他、A-beeによるリミックスも。*土田
エリオをかまってちゃん “Os-宇宙人” スターチャイルド(2011)
アニメ「電波女と青春男」の主人公・藤和エリオと神聖かまってちゃんがガチでコラボった電波な快(怪)曲。過剰なシンセやの子のコーラスが渦巻く音の洪水に、微妙にエフェクトがかったアニメ声が驚くほどマッチしている。*北野
坂本真綾 『You can't catch me』 Flying DOG(2011)
声優アーティストの代表格と言える彼女の周りには、常にミュージシャンシップの高い面々が集う。初のオリコン1位を獲得した本作にも堀込高樹(キリンジ)や北川勝利、末光篤、スネオヘアーらが関与。*北野
ワンリルキス “チョップスティック・ラブ” 株式会社08(2013)
サニーデイ・サービスの田中貴がプロデュースする声優4人組の新曲に、アゼル&バイジャンの西浦謙助が詞を提供。タルトタタンで証明済みの脱力女子を演出する腕は、細野しんいち製のキッチュなトラックとマッチ! *土田
ゆず “REASON 【HUNTER ×HUNTER Ver.】” SENHA& Co.(2013)
関ジャニ∞“T.W.L”以来となるゆずの外部提供曲は、本作に収録の“流れ星☆キラリ”。声優陣の美麗なハーモニーによる主旋律とゆずのコーラスが柔らかく寄り添うアコースティック・ポップとなっている。*土田
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2013年02月04日 13:50
更新: 2013年02月04日 17:30
ソース: bounce 351号(2012年12月25日発行)
ディスクガイド/北野 創、土田真弓