インタビュー

MOONBUGのルーツと『REMIX ASSAULT』の背景を探る!

 

まず、グループとしての歩みを振り返ると、2010年にオリジナル作『BEATS & SPIKES』(廃盤)を発表し、いくつかのコンピに参加しているものの、彼らの名を知らしめたマッシュアップ/リミックス作品のほとんどは、既存の楽曲を拝借するという手法の性質上パッケージ化されておらず……ですので、ネットの海に放流された音源を探してみましょう。

では、音楽的なバックボーンについて。中心人物のNovoiskiは「僕のルーツは(着用しているAC/DCのTシャツを見せながら)まさにこんな感じですね。もともとマッシュアップという文化もリンキン・パークとジェイ・Zのマッシュアップ・アルバムで初めて知ったんです」と語っており、根本にあるのはロック・リスナー気質のよう。サウンド面でもっとも影響を受けたのはインタヴュー中にもあるようにプロディジーで、いわく「ケミカル・ブラザーズ、ダフト・パンクを加えて自分のなかの御三家って感じですね」。アルバムではEMFやポップ・ウィル・イート・イットセルフなども参照したそうで、そのようにロックとダンス・ミュージックとをクロスオーヴァーさせてきたアーティストたちがMOONBUGの骨格を形作っていると言えるでしょう。

一方、Novoiskiと共に楽曲制作を担っているHisataakaaは、指の黒いトラックメイカー集団であるA.Y.B FORCEのメンバーであり、オールドスクール・ヒップホップに深い知識を持つ人物。彼がメインで手掛けたm-flo“come again”のリミックスには、アフリカ・バンバータばりの野太いエレクトロ・ビートが轟いており、また、原曲を細かくチョップして再構成するテープ・エディットの手法をアルバムの随所で投入しているのも彼。80年代にラテン・ラスカルズらが創出したこのスタイルについては「一時期は完全になくなったけど、いまはnonSectRadicalsみたいな人たちも出てきて、結構普通の手法になってきたと思います。パラ・ワンとかも近いと思うし」とのこと。アルバムからは、こうした現行アーティストとのシンクロ感も見い出せるかもしれません。

 

▼関連盤を紹介。

左上から、AC/DCの80年作『Back In Black』(Atlantic)、ジェイ・Z&リンキン・パークの2004年作『Collision Course』(Waner Bros.)、プロディジーの97年作『The Fat Of The Land』(XL)、ケミカル・ブラザーズの97年作『Dig Your Own Hole』(Virgin)、ダフト・パンクの2001年作『Discovery』(Virgin)、EMFの91年作『Schubert Dip』(Capitol)、ポップ・ウィル・イート・イットセルフの87年作『Box Frenzy』(Chapter 22)、アフリカ・バンバータやラテン・ラスカルズの音源を収めたコンピ『Tommy Boy Story Vol.1』(Tommy Boy)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年03月19日 15:30

更新: 2013年03月19日 15:30

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

文/澤田大輔

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