SCOOBIE DOはディスコ化しないの?
SCOOBIE DOはディスコ化しないの?
坂本「ところで、なんでそんなにバンドの結束が堅いの?」
マツキ「(笑)」
坂本「危機とかなかったんですか?」
マツキ「危機はね、そんなにないんですよ」
坂本「ないんだ。ケンカしないんだ」
マツキ「しょっちゅうしますよ。仲はそんなに良くないですから(笑)」
坂本「すごいよね、この安定感も」
マツキ「いやいや、安定はしてないですよ」
坂本「ゆら帝はそういうのに全然当てはまらないからね。みんなメチャメチャだったから(笑)。SCOOBIE DOは何年やってるんだっけ?」
マツキ「18年ですね」
坂本「ふ~ん」
マツキ「65年に結成されてたらいま83年とかですね。ストーンズでいうところの『Undercover』」
坂本「あ、そのへんか。じゃあ、SCOOBIE DOはディスコ化しないの?」
マツキ「(笑)。4つ打ちの曲とかもあるんですけど、なんて言うんですか、アルバム全体を通してそういうモードにはならなくて」
坂本「大丈夫でしょ。長くやってるとさ、基本だよね。偉大な先人たちもみんな一度はディスコ化してるじゃないですか。で、いま聴くと結構いいんだよね(笑)」
マツキ「(笑)。坂本さんはソロになってからライヴをやらなくなりましたけど、いま音楽活動のなかでいちばん楽しい作業はやはり曲作りですか?」
坂本「そうですね。こもって作ってるときがいちばん楽しい」
マツキ「作れないときってないんですか?」
坂本「作れないときはまあ、他のことするんで。もちろん、そういうときはありますよ」
マツキ「何か月も出ないとか」
坂本「そういうのもありますね、うん」
マツキ「どうするんですか、最終的に」
坂本「いや、なんにもしない。無になる」
マツキ「(笑)。すごいなあ、無になれるのがすごい!」
坂本「いやまあ、時間があるんで。締切に追われてないっていうのがあるから」
マツキ「そう、ソロになってからリリースのタイミングってどういう感じで組んでるんですか?」
坂本「もう適当(笑)。できそうになってからスケジュール決める」
マツキ「えーっ(笑)! 僕らの場合、メチャクチャ売れるわけではないし、ライヴやんないとバンドが回っていかないから、ツアーをやんなきゃいけないんですよ。そうすると、来年とか再来年のライヴ・スケジュールが先に決まっちゃうんですよね」
坂本「再来年まで!?」
マツキ「そうですね」
坂本「ホントに!?」
マツキ「はい。で、それに合わせてアルバムを出さなきゃいけないってなるから、今回は1年半ぶりなんですけど、それまで毎年1枚出してて」
坂本「相当アレでしょ、大変でしょ」
マツキ「キツいですよ」
坂本「いつ曲を作ってるの?」
マツキ「ツアー中とかにホテルの部屋にこもって作ったり」
坂本「すごいね」
マツキ「そうせざるを得ないという。常に必要に迫られている」
坂本「ブライアン・ウィルソンみたいにさ、バンドにツアー回らせて、曲作る人はその間に作ってるっていう、あれホントにいいシステムだなって思うんだよね。曲のクォリティーも上がるでしょ」
マツキ「上がるでしょうね」
坂本「でも、1年に1度、12曲も作るのって大変だね」
マツキ「そうですねえ、何やってんだろう?って思うときもありますけど(笑)。本当に作りたくて作ってるのかなって思うときもあるし、ホント、出来そうだっていうタイミングで出せればいちばん良いんですけどね(笑)」
坂本「もちろんそうでしょ(笑)。だいたいさ、そんなに新しい曲ってなくてもいいかもしれないよね。同じ曲ずっとやっててもさ、いいんですよ(笑)」
マツキ「なんかミック・ジャガーがですね、〈50年、バンドやってわかったこと〉みたいな質問に答えてて、そこで〈ファンは新曲を待っていない〉って(笑)。確かにそうなんですよね」
――ところでこの対談、とくにオチは用意してないんですが……このご時世、PEACE MUSICで録るっていうこと自体、何かしらの意思表示ですよね。
マツキ「まあ、誰でもやらせてもらえるわけではないですからね」
坂本「うん……うん」
マツキ「スタジオのスケジュール押さえるの、1年前じゃないとダメですから。坂本さんのスケジュールが最優先で」
坂本「いやいやいや、そんなことないでしょ」
マツキ「ある種のマイルストーンですから、坂本さんは」
坂本「なるべく逃げたいですね、そういうポジションからは」
マツキ「とりあえず、坂本さんには一度われわれのライヴを観ていただければ」
坂本「そうですね。もう、爆ノリなんでしょ?」
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