Homecomings 『Homecoming with me?』
[ interview ]
かつてのアノラック系ギター・ポップ・バンドの遺伝子がこんなところで育っていたとは! ヘヴンリィ、ヴァセリンズ、ビート・ハプニングもあれば、ティーンエイジ・ファンクラブの要素もあるぞ。京都のSECOND ROYALから届いたHomecomingsのファースト・アルバム『Homecoming With Me?』を聴いた瞬間、一気にそんな甘酸っぱい青春の記憶が甦ってきた。だが、彼らはやはり京都にある精華大学のフォークソング部の仲間で結成され、いまもメンバー中2人が在学中という若さ。オリジナル・アノラック・サウンドは後追いで聴いたというが、メロディーや甘く可愛らしいけど、演奏は結構荒っぽくてラフ、というスピリットまでしっかり受け継がれているのは頼もしい。さらに、録音はSIMPOの小泉大輔が、ミックスとマスタリングはNOKIES!の久米雄介がそれぞれ担当と、地元の音楽シーンを支える重要人物たちがバック・アップしているのもいい。畳野彩加(ヴォーカル/ギター)、福田穂那美(ベース/コーラス)、石田成美(ドラムス/コーラス)という愛らしい女子3名に、紅一点ならぬ黒一点の福富優樹(ギター)を加えたとびきりポップでちょっとやんちゃなHomecomings、ここに初登場!
発端はロケットシップとペインズ
――バンドはいつ、どういうきっかけで始まったのですか?
福富「僕らは大学のフォークソング部に所属してるんですけど、去年4月、新入生歓迎イヴェントに出るために新たに組んだのが最初です。もともと、僕とリズム隊の2人(石田、福田)はいっしょのバンドをやっていたんです。シューゲイザーっぽいバンドで、そこでは僕が日本語で歌っていました。で、新たに畳野さんを入れて組んだのがHomecomingsなんですけど、まさかここまで続けてやることになるとは思っていなかったですね」
――最初はどういうバンドをめざして?
福富「ギター・ポップです。もともと僕がロケットシップとかが好きで聴いていたんで、そういう感じを自分でもやってみたくて。それで自分が好きな曲をみんなに聴かせたりして……」
――皆さんはどういう音楽が好きだったんですか?
福田「私はエリオット・スミスとかが好きでした」
石田「私はピチカート・ファイヴとかORIGINAL LOVEとか……」
福富「みんな高校の頃から楽器をやっていたし、基本的な方向性は割と近かったかもしれないです。ちなみに僕と畳野さんは同じ石川の高校出身で同じ学年で4回生、石田さん、福田さんは一つ上の学年で、今年卒業をしています」
――女の子バンドのなかに一人だけ男性、という図式は割と思い描いていたものなのですか?
福富「というか、女の子ヴォーカルのバンドがやりたかったんです。それまでシューゲイザーっぽいバンドで自分でずっと歌ってきて、なんかもう、僕歌も上手くないし限界を感じて……というのもあったんですけど(笑)……最初は女の子ヴォーカルってことくらいで他にあまり深く考えてなかったですね。ただ、最初からオリジナルでやろうってことは決めていました」
――何かキーワードになるようなヴィジョンとかはありました?
福富「やっぱり、ロケットシップとかペインズ(・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート)とかですかね……。基本洋楽のギター・ポップがイメージしていたものでした」