INTERVIEW(3)――言葉と向き合って
言葉と向き合って
――なんか、歌詞について語りたそうだね(笑)。サウンドの話をしてても、そっちに行っちゃうから。
「いちばん苦労したんで。逆に音は、すごいスムースだったんですよ。いままで勉強してきたぶんがものすごい糧になっていて、一瞬で出来たぐらい。何にも苦労しなかった。音は、いままでの積み重ねがやっと形になったことが、自分でもすごく嬉しいです」
――で、次のテーマは言葉だと。
「そう。オレがいまブチ当たってるのは、言葉なんだろうなというのはすごくあります」
――今回、宮崎歩さんと共作になってるでしょう。これはどういうふうに?
「音の面では、アレンジャーさんとがっちり組んで、プロデュースしてもらいながら、共同的にやってたんでんすけど」
――そっちは宅見(将典)さんで。
「そうです。言葉の面も、そういうふうに助けてもらったというか、今回は宮崎さんに助けてもらいました。会ってはいないんですけど、オレが歌詞を書いて、それをデータで送って、添削してもらって。目的は、〈小林太郎が伝えたいことは何か? どうすればそれが伝わりやすくなるか?〉ということで、短期間だったけど、宮崎さんとやり取りしながらできたのは、良かったと思います」
――基本は太郎くんが考えて、アドヴァイスをもらうという感じ?
「そうですね」
――さっき言ってた恋愛ソングという、男と女の情熱的な物語にしたいというイメージは、最初から浮かんでいた?
「そのイメージは出来てたんですけど、そこに自分が普段考えている気持ちを、入れられれば入れたいなと。でも、いままでは音と向き合っていたけど、言葉とは向き合っていなかったから、すごい難しくて、全然出てこない(笑)。ほんとに苦しみましたね。でも逆に、それが出来れば、すごく強いだろうなと。日本語って、すごく重くなる言葉だから、いままでは使いにくいところがあったんだけど、そのコンプレックスを逆に強みにしたかったんですよね。そこでヒントになったのが、さっきも言った音楽を始めた時の自分で、メロディーとか歌詞とかで言うと、J-Popなんですよ。昔は、J-Popが大好きだったんですよね。いまも大好きですけど」
――確か、小学生の時に最初にカラオケで歌って、お母さんに褒められたというのが、“アゲハ蝶”でしたっけ。ポルノグラフィティの。
「そうそう。そこから、スピッツ、Mr.Children、サザンオールスターズと、王道が大好きで」
――そういえば“鼓動”のイントロのリフって、ちょっとスピッツの“ロビンソン”ぽい(笑)。〈J〉な感じがする。
「〈J〉とか〈邦〉な感じが(笑)。だから今回は、いままでとは違った側面もあるんだけど、いままでと変わらない部分もすごくあると思ってます。90年代のJ-Popとか、いま聴いてもレヴェルが高いと思うんですよ。それは80年代にも、70年代にも言えることだと思うんですけど、昔のほうがレヴェルが高くて、自分と向き合ってる音楽が多かったなと思うんですよね。いまと比べても。わかりやすくて、頭に残って、とりあえず好きになってしまう、そのレヴェルの音楽を、自分でも作りたいなと思ってます」