インタビュー

INTERVIEW(2)——どんよりしたテクノ



どんよりしたテクノ



GOATBED



——それがいまは完全にお一人で制作されているとなると、石井さんご自身の嗜好がGOATBEDの作品には端的に表れてる?

「うーん……わかんないですよね、そういうのは。そうなのかな?」

——例えば、いまの時点で〈これが格好良い〉と思う音とか。『HELLBLAU』のときはジェフ・ミルズの名前が挙がったりしてましたが。

「ああ、そこはなんにも変わってない気がしますね。別に何かを聴いて刺激を受けたような感じはしないですけど……」

——特に今作で初出の前半の楽曲は、『HELLBLAU』からの延長線上にあるな、と思うんですよね。そこに石井さんの絶対的に好きなものやいまのモードが素直に出てるんじゃないかな、と。

「うん……80年代後半ぐらいから90年代初めぐらいのテクノとかは結構聴いてたような気がしますね。ここ最近」

——例えば?

「トーマス・フェルマンとか、あとはキャバレー・ヴォルテールのリチャード・H・カークの変名のやつ……スウィート・エクソシストか。ワープから出てる、ちょっとアンビエント……じゃないか、どんよりしたテクノみたいなのはすげえ聴きましたね。実際サンプリングしてちょっと使ったりもしてますし。別に意図的に聴いてたわけじゃないんだけど……あと新しく買ったとかでもなくて。さっきおっしゃってた〈モード〉みたいなやつなんですかね? なんとなく〈こういう感じの音にしたいんだけど〉っていうのが頭の中にあって、〈そう言えば、あれがあんなだった気がするなあ〉と思って、で、聴いてみたらそんなだった、みたいな。じゃあこれちょっと、いただこうかなって(笑)」

——(笑)。“AIDA 1/2”“AIDA 2/2”はダブ・テクノ的なインストですしね。

「そうですね。オストグート・トン・サウンドみたいなのを一個作って放り込んどくか、みたいな(笑)」

——その、前作の方向性からよりストイックに突き進んでいる空気はものすごく感じられます。

「まあ、そもそも音の作り方が前作と同じですしね。前もサントラが先に出てて、そこに収録されてる曲がいくらかあって、それはやっぱりゲーム用に作った曲だから結構ポップだったりして、じゃあ残りはそうじゃないものを作って。まったく同じことやってますね(笑)」


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掲載: 2013年08月21日 18:01

更新: 2013年08月21日 18:01

インタヴュー・文/土田真弓