ディスクガイド――(1)
カクマクシャカ 『image nothing』 術ノ穴(2011)
Shing02との共演でも知られ、Fragmentや空也MCの作品参加を通じてすでに術ノ穴とは縁のあった沖縄のラッパー。この初の全国流通作では、地元の置かれた状況を踏まえての決然とした強い言葉が心を揺さぶる。Fragmentも制作に参加。
空也MC 『独走』 術ノ穴(2012)
術ノ穴の諸作に出入りする傍ら、自主盤も精力的に出している埼玉のラッパーが、全曲k-over(元Bugfics)のビートにワンマイクで挑んだ意欲的な最新作。トゲのある言葉とアグレッシヴなトラックが予想以上のマッチングで最高。なお、k-overはまくらの新作でもミキシングを担当している。
DOTAMA×USK 『リストラクション~自主解雇のススメ~』 術ノ穴(2012)
栃木出身の〈笑うバトルMC〉ことDOTAMAが、海外でも評価の高いチップチューン作家のUSKとタッグを組んだ一枚。8ビットの豊かな感情表現が言葉のエモさをも引き出しまくる! Fragmentはリミックスで参加。
キリコ 『Greyhound』 術ノ穴(2012)
早くから術ノ穴に在籍し、辛辣な目線と直截的なリリックで名を売ってきた彼だが、最新作にあたるこの4作目では大きく変化。DJ OLDFASHIONの織り成す飴色のビートに乗せて、目と心に映るものを奇を衒わずに表現したラップがリリカルなロード・ムーヴィーのように流れていく名品だ。
ゆーきゃん 『あかるい部屋』 術ノ穴(2012)
シグナレスでも知られる、京都在住のシンガー・ソングライター。術ノ穴での2枚目(通算4作目)は、簡素なバンド・サウンドをバックに言葉の力と品のあるメロディーの際立つ詩的な作品集に。この味もレーベルカラーに思えるから不思議。
泉まくら 『卒業と、それまでのうとうと』 術ノ穴(2012)
オリジナルの5曲+そのリミックス5曲を収めた初作。新作同様に冒頭と本編のラストをnagacoのビートが固め、初録音の“ムスカリ”をOMSBのビートでリメイクしたほか、観音クリエイションが“春に”をドラマティックに彩色。リミキサーにはLil'諭吉やDJ濱、Quviokalらが参加。
Fragment 『感覚として。+ササクレ』 術ノ穴(2013)
現時点での最新アルバム。MACKA-CHINを迎えた“調整”をはじめ、LEO今井とUNHELLYSのkim、空也MC、そしてまくらの声も適所に配しつつ、狐火との“雨降りの原発”がハイライトか。ダイナミックなループで押す冒頭の“Rebel Rhythm”を筆頭に、インスト曲のカッコ良さも光る!
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2013年11月19日 21:00
更新: 2013年11月19日 21:00
ソース: bounce 360号(2013年10月25日発行)
ディスクガイド/出嶌孝次