インタビュー

『CAPS LOCK』するまで――中田ヤスタカのサウンド変遷と共に辿る、capsule→CAPSULEの歴史(2)



2008


Perfume 『GAME』 徳間ジャパン(2008)

全国デビュー時から中田が全曲を手掛けてきた3人組の当時の到達点で、彼にとっても初のオリコン1位作品に。というか、いま聴くとマイルドに響くこと自体に本作の意味と功績がある。

 

鈴木亜美 『Supreme Show』 avex trax(2008)

前年の名シングル『FREE FREE /SUPER MUSIC MAKER』の成果も踏まえて中田が全面プロデュースした意欲作。甘酸っぱい“LOVE MAIL”や和風の旋律がノスタルジックな“flower”などが好感触!

 

capsule 『MORE! MORE! MORE!』 contemode /YAMAHA(2008)

前作の一面を継承しながらも雰囲気はグッと軽みを帯び、“JUMPER”や曲名そのままな“E.D.I.T.”からもわかるように、フィジェット的な活用も試みられている声素材と音の網の目が巧妙に張り巡らされた印象だ。ここで初のオリコンTOP10入り。

 

 

 

 

2009


MEG 『BEAUTIFUL』 ユニバーサル(2009)

2007年の“甘い贅沢”から活動休止までの間に中田プロデュースのアルバムを4枚残している彼女だが、トータルの完成度とエゴの拮抗ぶりでは本作がダントツだ。素朴な“STAR”から流麗な“JOKER”まで美曲揃い。

 

 

 

2010


capsule 『PLAYER』 contemode/YAMAHA(2010)

初のベスト盤を挿んでの12作目。男声の素材も用い、“The Music”など次作に直結する長尺のヒプノティックなダンス・チューンが幅を利かせる一方、音数を絞った“I wish You”“Hello”の響きは『CAPS LOCK』後に改めて一聴を。

 

 

 

 

2011


capsule 『WORLD OF FANTASY』 contemode/YAMAHA(2011)

BPM128で統一された過去最高に快楽主義的なダンス・アルバムで、オリコンでも初のTOP3入り。ラテン・ハウスの“WHAT IS LOVE”、レイヴ調の意匠にアガる“PRIME TIME”など素晴らしく下世話な音の奔流が隅々まで行き届いた獰猛な傑作!

 

Perfume 『JPN』 徳間ジャパン(2011)

盤石のチーム感が現れた一枚。シングル集のような側面もあるもののまとまりは上々で、改めて聴くと“GLITTER”や“スパイス”のアイデアには『STEREO WORXXX』で発展しているところも感じられる。

 

 

 

2012


capsule 『STEREO WORXXX』 contemode/YAMAHA(2012)

曲調はここ数作中でも多彩ながら、テッキーで流麗なハウス“In The Rain”などダンス・トラックであっても音響的な快感という統一性があるのは表題通り? 奇妙なコード展開に耳がどこかに運ばれる終曲“Transparent”も凄い。

 

きゃりーぱみゅぱみゅ 『ぱみゅぱみゅレボリューション』 unBORDE(2012)

前年の『もしもし原宿』に続いて全編を手掛けたフル・アルバム。次作に比べると音はまだスクエアながら、こういうのを聴いてると中田の作詞家としての奇抜さにも着目すべき……だと思う。

 

 

 

 

2013


きゃりーぱみゅぱみゅ 『なんだこれくしょん』 unBORDE(2013)

前作以上の注目を集めて登場したセカンド・アルバム。ノヴェルティー・ソング集のような仕上がりでもあるが、お題に応えながらも野心的にアイデアを投入しまくる中田の姿勢には、CAPSULEとは異なる凄みを感じる。

 

『ASOBITUNES』 unBORDE(2013)

レーベル移籍のタイミングで登場したコンピ。ここには〈capsule〉表記でのポップなダンス・トラック“Rainbow”がエクスクルーシヴ収録。RIP SLYME“熱帯夜”のウォブリーなリミックスもここでしか聴けないヴァージョンだ。

 

Perfume 『LEVEL3』 Perfume/ユニバーサル(2013)

ドーム・ツアーを控えた状況や海外での評価の高まりも受けてビッグ・チューンを揃えたアルバム……というだけではない完成度。毎度の鉄壁ぶりを堅守しつつアレンジの幅も広げた大作!

 

SCANDAL 『STANDARD』 エピック(2013)

本作からの先行シングルだった“OVER DRIVE”は詞曲も提供した中田の最新仕事のひとつ(アレンジはnishi-kenと共同)。いわゆるバンド曲のプロデュースは初?だが違和感はない。

 

 



カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年10月23日 18:01

更新: 2013年10月23日 18:01

ソース: bounce 360号(2013年10月25日発行)

ディスクガイド/出嶌孝次

記事ナビ