インタビュー

LONG REVIEW——Yun*chi - Your song*



キュートでファニーですこぶるキャッチー



Yun*chi



常日頃、ガール・ポップばかり聴いているのだが、そのいちばんの理由は女性ヴォーカルが好きだから。楽器としての女子の声、その響きに惹かれるのであります。そんな筆者がいま、とりわけ魅了されている声の持ち主が、このYun*chiに他ならない。彼女の作品と向き合うのはこのファースト・シングルで3度目となるが、そのマジカル・ヴォイスがもたらす鮮烈な印象は少しも薄れない。はっきりした記名性がありながら刻々と表情を変えるがゆえに掴みどころのない歌声だと思うし、その中毒性にやられてついついCDをリピートしてしまう。

これまでに発表してきた2枚のミニ・アルバムは、どちらもさまざまなスタイルの楽曲を詰め込んだものだったが、今回の初シングルは4つ打ちのエレクトロ・ハウスばかりを3曲収録。だがソリッドなダンス路線という印象はなく、どちらかというと彼女のしなやかな側面が強く打ち出されているように感じる。agehaspringsの田中隼人が手掛けた昂揚感たっぷりの表題曲、世界中の女子27人をコーラスに迎えた浅田祐介のプロデュース曲“Waon”、岩田アッチュ(NIRGILIS)の手によるちょっとエレポップ風味の“Fuzzy”……アプローチの仕方は少しづつ異なるものの、いずれもキュートでファニーですこぶるキャッチー。方向性が絞り込むことで、Yun*chiのキャラクターや魅力を明快な形でパッケージングした好シングルと言えそうだ。


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掲載: 2013年11月13日 18:01

更新: 2013年11月13日 18:01

文/澤田大輔