インタビュー

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21世紀の影響下でドロップする“ジャズ”

質問に答えてくれたのは、トランペッターのシェイン・エンズリー、キーボードのアダム・ベンジャミン、ベースのケヴィー・ラステガー。そこに、テナー・サックスのベン・ウェンデルとドラマーのネイト・スミスを加えた5人組が、2001年にLAで結成されたニーボディだ。うち3人は現在NYに引っ越しているが、ヒップホップ時代ならではの揺れや歪みを抱えた、電気効果も介するエッジィな現代ジャズを標榜するという指針は、不変だ。

「僕たちの周りにある様々な音楽が、原動力になったり、インスピレーションになったりする。パンク、フュージョン、オペラ、ヒップホップ、グランジ、ビ・バップなど本当にいろいろな種類の音楽を僕たちは聴いてきており、そうした好きなものに対して扉を閉めたいとは一切思わない。作曲したり演奏したりするとき、僕たちの音楽がジャズか否かということなんか考えないけれど、僕たちの音楽は21世紀に向けて、ジャズのごくごく自然な進み方だと感じている」(アダム)

特にライヴ・パフォーマンスだと顕著に表われるが、トランペットとテナー・サックスが阿吽の呼吸で重なる様には、〈21世紀の、ぶっこわれたブレッカー・ブラザーズ〉という感想も生まれるか。

「ブレッカー・ブラザーズと比べてもらえるなんて本当に光栄だ。ベンと僕は結構長い間一緒にやってきたっていうこともあって、ここまで来ると兄弟っていう感じがするからね」(シェイン)

そんな彼らは、これまでデイヴ・ダグラスのレーベルであるグリーンリーフや独ウィンター&ウィンターなど、個性的なレーベルからアルバムを発表。そして、新作はコンコードからのリリースとなる。

「僕たちの音楽は、緊張感と解放感を中心に据えていることが多い。そして、今作はできるかぎりその両極端を探求したかった。重くてエネルギッシュなのに、一方では平静と美の瞬間を求め、そのバランスを取りたいとも思った」(ケヴァー)

面白いことに、そのCDブックレットには作曲者による丁寧な解説が曲ごとに載せられている。

「各曲の解説が載っていた、古いジャズ・アルバムへの回帰みたいなものだね。僕たちは皆すごい音楽オタクでレコード狂だから、何時間も何時間も他者のアルバム・ジャケットやライナーについて細かいところまで話し合うんだ。そんなことを僕たちのファンが僕たちの音楽に対してもしてほしいって思うんだよね。今は音楽がいろいろな手段で手に入るけど、ファンが僕たちのCDを手にした時には完全なもの、フルのパッケージで提供したいんだ!」(アダム)



カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2014年01月09日 10:00

ソース: intoxicate vol.107(2013年12月10日発行号)

interview&text:佐藤英輔