インタビュー

いま第一線で活躍中のV系バンドに見え隠れする黒夢の影



後のV系バンドに多くのフォロワーを生み出した黒夢。実際に彼らの音楽を聴いて育った世代のみならず、いまのV系バンドは何かしら黒夢の影響下に置かれていると言っても過言ではないだろう。実際、清春の特徴である振り幅の広いヴィブラート唱法や、ステージでの立ち居振る舞い(この部分は特に!)など、後進バンドに〈黒夢的なもの〉ないし〈清春的なもの〉を垣間見ることは実に多い。

代表的な面々を挙げると、まずはシド。メンバーのマオが、尊敬する人物として清春の名前を挙げているのは有名だ。また、シドの哀愁漂う歌謡曲的なメロディーは、黒夢の初〜中期の楽曲に通じると言えよう。そしてthe Gaze-ttEのRUKIも影響を受けたと語る人物。〈異端〉と形容されることの多いthe GazettEだが、その反骨的な姿勢は王道主義を嫌った黒夢の存在を彷彿とさせる(ちなみに両者とも黒夢のトリビュート盤に参加)。また、後期の黒夢の壮絶なライヴ・パフォーマンスは、清春の主宰レーベル=FULL FACEからリリース経験があるMERRYや、かつて黒夢の活動拠点であった名古屋出身のlynch.などへの影響が色濃い。さらにラウド系のバンドのみならず、SuGの武瑠はコピー・バンドをしていた頃に“少年”を取り上げたり、ソロ・プロジェクト=浮気者ではsads“忘却の空”をカヴァー。清春は自身の基盤だと語っている。

このように、黒夢はさまざまな面でいまに至るV系シーンの礎の一端を担っているのだ。



▼関連盤を紹介。
左から、シドのニュー・シングル“hug”(キューン)、the GazettEの2013年作『BEAUTIFUL DEFORMITY』(ソニー)、黒夢の2011年のトリビュート盤『FUCK THE BORDER LINE』(avex trax)、MERRYの2013年のシングル“ZERO -ゼロ-”(FIREWALL DIV.)、lynch.の2013年のEP『EXODUS-EP』(キング)、浮気者の2013年のミニ・アルバム『I狂U』(ポニーキャニオン)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2014年01月22日 18:00

更新: 2014年01月22日 18:00

ソース: bounce 363号(2014年1月25日発行)

文/山口哲生

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